2008年度の企画



●質的心理学講座第三巻研究会

「春の甲子園球場で『社会と場所の経験』を議論する ‐技法とその思想‐」

 

◇日時

2009年3月22日(日)14:30?17:30

◇場所

 神戸山手大学3号館212教室

 

◇企画趣旨

質的心理学というディシプリンは、名前についている心理学という学に閉じたものではなく、社会学、文化人類学、看護学、医学、建築学など、人間の経験とその質を扱うさまざまな学問の「あいだ」に立つ中間領域‐いわば交差点‐として位置づけられるものだと捉え、社会における現在的・現実的な問題に深く切り込むアプローチの代表例を編んだのが「社会と場所の経験」(質的心理学講座第3巻)であった。

 

 この巻の問題意識の背景にあったのは、地域共同体が「崩壊」したと言われ、それが個人や社会のさまざまな病理に直接、間接に関与していると評される現代の日本社会において、共同体(コミュニティ)という概念が有効であるとしたらどのような意味においてであるか、という問いであった。生産と生活活動を包括する社会と場所の単位としての村落や、あるいは都市における「町内」といった地縁性の高い地域社会の単位が、理念的にも現実的にも「生きて」いた時代があったとして、現在われわれがふつうに暮らしているいわゆる地域(ローカルな場)は、それぞれ固有の生活構造や職種や社会的ネットワークをもった個人の集積以上の社会の単位を成しているとは言い難い。一方で、インターネットや携帯電話といった電子の網で結ばれるコミュニケーションの道具が劇的に普及するなかで、遠くに居る者どうしが「コミュニティ」を形成し、そこに流れる情報や多数意見の動きが個人の生命までを左右する影響力をもつに至った現在、「場所」の持つ意味はますます複雑に錯綜してきたとも思われる。

 心理学は個を単位とした心理機能の解明を得意にしてきた。実験も調査も面接も、個としての人間に対して行われる。個ではなく、社会の有意味な単位の中に生活する「人々」を相手に、その人々の経験を解明する方法は、文化人類学や社会学において主要な方法であったフィールドワークに範を求めることができ、そこには「現場」こそが解明されるべき社会現象の分析単位であるという新しい方法理念が埋め込まれていた。

 しかし、現場とは何であろうか。この使い勝手のよい用語は、日常語でもあり、曖昧な意味を持ちながら、質的研究を駆動するヒューリスティック(発見装置)として有効ではあったが、学問の基盤を成すにはまだ未解明のままである。「場所」も同様である。 本研究会では、春の高校野球の行われる甲子園球場をフィールドとして取りあげる。そこを「臨場」観戦した後で、以上のような問題を背景として、質的心理学における技法として捉えられる主要なアプローチ、すなわち「エスノグラフィー」「エスノメソドロジー」「現象学」に加え、文化歴史的な生成過程をモデル化する新しい方法としての「複線径路・等至性モデル」など、相互に関連を持ちつつ異なる思想的背景の下に発展してきた質的探求法を甲子園という場所において適用し議論し合うことによって、技法をテクニックとしてではなく、方法論として語る場にすることがねらいである。

 具体的には、現場に寄り添うフィールドワーク、日常に潜むポリティックスをあぶり出すエスノメソドロジー、環境に身を浸す臨場的現象学、現実をアブダクトする複線径路・等至性モデルなど、技法が生まれた場のリアリティを含めて、社会と場所の経験を掬い取る方法をそれぞれの実践者から話してもらう。

 

甲子園にすでになじみのある方は、研究会のみに参加してもらえればよい。なじみのない方には、研究会の前に企画者・登壇者と共に観戦する機会を設けるので、それと組にして当研究会に参加してほしい。

 

◇登壇者

・石井宏典(茨城大学)

・好井裕明(筑波大学)

・南博文(九州大学)

・サトウタツヤ(立命館大学)

 

◇参加申込・問い合せ先

座席に限りがありますので事前にお申し込み下さい。その際、お名前・連絡先メールアドレス・甲子園観戦時の合流希望の有無をお知らせ下さい。メールタイトルは「質心第3巻研究会参加希望」または「質心第3巻研究会について」として下さい。

a.arakawa@law.nagoya-u.ac.jp (@を半角に置き換えて下さい。)

 

※事務局等へメールやFaxで参加のご連絡をされても受け付けられませんので,ご注意ください。

 

◇参加費

 日本質的心理学会会員=無料

    同   非会員=1000円

 定員: 50名(先着順)

◇主催

 日本質的心理学会研究交流委員会

 

◇甲子園観戦

11:30頃から始まる第2試合を観戦します。合流方法をお知らせしますので、参加申込時に、希望をお知らせ下さい。

雨天等で試合が中止の場合は中止します。 

 

 

 


 

●研究交流委員会主催シンポジウム「 臨床の中の倫理—命の限りと向き合うとき」

 

◇企画趣旨

 この世に受けた生に限りがあるということを知ると、たぶん自分の中で、 良い悪いの基準が大きく変わる気がする。自分の命であればもとより、自分 に近しい人の命のことであっても、しておきたいこと、しなくてはならない ことを決める基準がいつもとは異なる気がする。どうしてなのだろうか。も ともと命には限りがあり、永遠に生きることはできない。けれども、あると ないとのはざまでないということを直視するときほど、ある(ない)という ことの意味が際立ち、濃縮した時間が流れるように思われる。

 がん看護ないしは医療の、特に終末期ケアの現場は、ある(ない)というこ とが他人事であったり、ある(ない)ということをあまり意識していない、 いつもの時間や意味と、命の限りをまのあたりにした人のそれとが交錯する 現場といってもいいだろう。そのような現場の倫理的課題や判断について、 ケア実践者、哲学者、社会学者の立場からお話していただき、質的研究から どう終末期の倫理的課題や判断に取り組むことができるのか、あるいは取り 組もうとするときにどのような倫理的課題があるのかについてご討議いただ く予定である。

 

◇開催日時 2009年3月11日(水) 14:00?17:15

                 (受付は13:30から)

 

◇開催場所 大阪大学中ノ島センター 10Fホール

 

◇登壇者

 話題提供者

  田村恵子(淀川キリスト教病院 ホスピス主任看護課長/がん看護専門看護師) 

  鷲田清一(国立大学法人大阪大学 総長)

  鈴木智之(法政大学社会学部 教授)

 指定討論者

  山田富秋(松山大学人文学部社会学科 教授)

 司会

  大久保功子(国立大学法人東京医科歯科大学大学院保健衛生研究科教授)

  操華子(国際医療福祉大学小田原保健医療学部 教授)

 

◇会費

 当日、受付にてお支払い下さい。

  会員   500円

  非会員 1500円

 

 

     

 


 

● シリーズ<質的心理学の最前線>(第2回)「人生と病いの語り」

 ナラティブ・ターン(物語的転回)と呼ばれる学際的潮流が、心理学にも押 し寄せています。「語り」がどのように経験をまとめ意味づけるのか、病いと いう経験を生きること、一見ネガティブな経験を意味づけることとケアがどの ように結び付くのか。これらの問題を、インタビューやテクスト分析を通した 質的研究としてまとめ、実践に活かしていく試みにチャレンジします。臨床分 野の先生をお招きし、刺激的な発表と議論をお楽しみいただけるものと考えて います。

 

 話題提供: やまだようこ(京都大学)

         戈木クレイグヒル滋子(首都大学東京)

         江口重幸(東京武蔵野病院)

 コメンテータ:岸本寛史(京都大学医学部附属病院)

        山口智子(日本福祉大学)

 司会:     永田素彦(京都大学)

 日時: 2008年6月8日(日)13:30−16:30

     (受付開始:13:00)

 会場: 京都大学吉田南キャンパス・総合人間学部棟1102

     

     参加費: 日本質的心理学会会員=無料

         同   非会員=1000円

 定員: 100名(先着順)

      申込先:定員に達しましたので参加登録は終了しました。多数のお申し込みありがとうございました

 

※事務局等へメールやFax で参加のご連絡をされても受け付けられませんので,ご注意ください。

 参加希望者は,ウェブサイトより参加登録をしてください。非会 員の方の参加費は当日,現地で徴収いたします。なお,参加者が定員を 超過した時点で申し込みウェブサイトを閉鎖します。

  

 主催:日本質的心理学会研究交流委員会

 共催:京大GCOEプロジェクト「心が活きるフィールド教育と生涯発達のサポートとシステム」