高橋 菜穂子・やまだ ようこ(優秀モデル生成論文賞)
児童養護施設における支援モデルの構成――施設と家庭をむ すぶ職員の実践に着目して第11号(2012),156-175.
8名の児童養護施設職員のインタビューデータから、子どもへの日常的支援と、子どもと家族とのむすびをうみだすための働きかけという職員が担う役割を抽出し、<基本構図モデル>として示した論文である。適切なステップを踏んで収集されたデータが、適切に解釈された上で、基本構図モデルの作成にまで至った点が高く評価できる。くわえて、モデル作成プロセスの紹介と、インタビューの中で語られた事例をもちいたモデルの吟味により、このモデルの実践的な有効性を検討した点も評価された。今後、児童養護施設職員の実践の詳細、支援が困難な事例への対応、場所(トポス)概念を用いる意義などが明確にされることにより、さらに意義のあるモデルに発展することが期待できる。以上から、選考委員会は本論文が「優秀モデル生成論文賞」にふさわしいという結論に至った。
優秀分析方法論文賞
東村 知子
母親が語る障害のある人々の就労と自立 ― 語りの形式とずれの分析第 11 号(2012), 136-155.
障害者の母親2名とその子どもの就労に際して支援を行った福祉施設職員とのグループインタビューと、2名の母親の個別インタビューから、母親による障害のあるわが子の就労についての語りの形式とそのずれを分析した論文である。まず、障害者の母親とその子どもの自立、語りのずれに注目することの意義が、先行研究に基づいて明確に位置付けられていた点が評価された。また、語りを分析した他の論文とは異なり、語りを聴くことを通して発見されたずれに注目し、それを起点に論文主題に対する理解を深めるという探索的な分析方法が評価された。具体的には、個別インタビューとグループインタビューとの語りのずれや、聴き手とのずれに注目することにより、障害のあるわが子の自立を願う親の思いが矛盾やゆらぎをはらむものであることが見出され、論文主題の厚みのある理解を導いていた。以上から、選考委員会は本論文が「優秀分析方法論文賞」にふさわしいという結論に至った。




