太齋 慧
Exploring how heterosexual psychological supporters position themselves with homosexualsThe 41th Annual International Human Science Research conference 2024(第41回国際人間科学学会)
邦題「異性愛者である心理支援者は同性愛者と自己をいかにポジショニングするか」
この度は国際フロンティア奨励賞をいただき、誠にありがとうございます。
本研究では、異性愛者である心理支援者が同性愛者への心理支援をどのように捉え、性的指向の差異に対して自己をどのようにポジショニングし支援を行うのかを検討しました。マイクロアグレッションとも呼ばれる意図せぬ差別を時に生じさせ得る中で、心理支援者がわからなさや難しさを感じつつ、様々な方略を通して相手を害さずにわかろうとし、よりよい支援を行おうとする過程が描かれました。その過程でとられる複数のポジションが、どのように心理支援に資するのか、あるいは相手を害することにつながり得るのかが考察されました。
私は心理職として臨床実践を行っています。個人としてはマイノリティ当事者の側面があり、当然マジョリティとしての側面ももっています。相手をわかろうとすることは臨床実践の基本にありますが、様々な条件のもとで時にそれが難しくなることを、臨床実践においても日常場面においても実感しています。そうしたわかりあえなさについて理解したいという思いが本研究の起点にありました。質的研究を学ぶ中で知った、社会的なディスコースや対話という相互行為におけるポジショニングという概念が、理解への一つの視座をもたらしてくれました。
本研究ならびに現在までの私の研究生活は多くの方々の支えにより成り立っています。指導教員である能智正博先生には、研究生活の礎となる質的なものの見方を教えていただきました。調査にご協力いただいた皆さま、ゼミや研究会でコメントをいただいた皆さま、いつも刺激をいただく質的心理学会の先生方、様々な方々の声が響く中で私の研究が形を成してきたように感じます。皆さまに深く感謝し本賞をさらなるチャレンジへの力として、人がより信頼しあい支えあえる社会を目指し、質的心理学会をはじめとする研究コミュニティに貢献できるよう精進してまいりたいと思います。
建部 智美
Feelings of Grief and Loss Among Caregivers of People with Dementia in JapanAssociation of Death Education and Counseling 45th Annual Conference(死の教育とカウンセリング学会 第45回大会)
邦題「日本における認知症の人の介護者のグリーフと喪失」
このたびは、国際フロンティア奨励賞という大変名誉ある賞を賜り、心より感謝申し上げます。光栄であるとともに、身の引き締まる思いです。
本研究は、修士課程で行った研究で、認知症の人の介護者が経験する喪失とグリーフについて包括的に検討することを試みたものです。具体的には、質問紙調査による量的研究を実施した後、そこで捉えきれなかった喪失とグリーフの実態をボトムアップ的に探索しました。さらに、介護中から死別後にかけてそれらをどのように経験し、介護対象者/故人との関係をどのように意味づけているのか、そのプロセスを丁寧に捉えることを目指してライフストーリーインタビューを行いました。
本研究の出発点には、以前、認知症対応型グループホームでアルバイトをしていた際、認知症の方とそのご家族のやり取りを見て抱いた素朴な疑問がありました。また、認知症の方を介護する家族について喪失やグリーフの観点から迫った研究、特に意味づけのプロセスに注目した研究は十分ではないと考え、本テーマに取り組んでまいりました。介護や死別といった家族の関係性が深くかかわるテーマであることから、本研究には質的アプローチが非常に適していたと感じています。また、その意味づけは単に一つの物語として語られるだけでなく、ゆらぎや逡巡を伴うものでもありました。そうした過程を捉えることができたのも、質的研究だからこそ可能だったと感じています。
本研究の遂行にあたっては、指導教員である川島大輔先生(中京大学)に多大なご指導・ご助言を賜りました。研究の方向性や計画立案から分析に至るまで、先生の温かく的確なご指導があったからこそ、ここまで取り組むことができました。心より深く感謝申し上げます。また、語りを通してご自身の体験を共有してくださった参加者の皆様にも、心より御礼申し上げます。このたびの受賞を糧に、これからも学びの姿勢を忘れず、精進してまいります。改めまして、このたびは誠にありがとうございました。




