学会貢献大賞(個人賞)
大橋 英寿(東北大学)
今回、学会としては初めて、個別論⽂に対する賞ではなく研究者に対する賞を授賞することになった。対象者は⼤橋英寿⽒である。
⼤橋英寿⽒は 1939年⽣まれ。東北⼤学⼤学院を修了後、京都教育⼤学などを経て、東北⼤学教授(現在・同⼤学名誉教授)。⽒は⾃らの⽴場をフィールドワーク社会⼼理学あるいはエスノグラフィック社会⼼理学と位置づけ、多くの後進を育ててきた質的⼼理学の先駆的存在である。
1975年、沖縄のシャーマンであるユタの「病気治し」に関⼼をもち、沖縄にてシャーマニズムの研究を開始。沖縄シャーマニズムの世界は⼀種の病気治療システムを内在させており、地域社会で重要な役割を担っているということを明らかにした。20年間の成果は『沖縄シャーマニズムの社会⼼理学的研究』として 1998年に出版され、フィールドワーク研究の⾦字塔として後進達を導いている。
また、アーサー・クラインマン『Patients and healers in the context of culture: An exploration of the borderland between anthropology, medicine and psychiatry』に関⼼をよせ『臨床⼈類学――⽂化のなかの病者と治療者』として訳書を刊⾏するなど、⼼理学を含む質的研究への貢献は⼤きなものがある。
⽇本質的⼼理学会には、設⽴時から参加。また、その前⾝的取り組みである様々な関連企画などにも積極的に参加し、⽇本の質的研究の発展を⽂字通り全⾝で⽀えてきた。⽇本質的⼼理学会第7回(2010) においては、⼤会企画シンポジウム「フィールドワーク︓東北フィールド学派の系譜をめぐって」に参加して、東北フィールド学派の中⼼⼈物としての⼤橋⽒の業績に改めて光が当てられたことは記憶に新しい。
以上のような⼤橋英寿⽒の⻑年にわたる学究⽣活は、貢献⼤賞を授与するのにふさわしいと考えられる。




