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編集:日本質的心理学会研究交流委員会

日本質的心理学会 メールマガジン No.84======================2011/10/20

第8回広島大会の事務局は次第に忙しくなっているのではないかと想像し
ます。お世話になります。先日飛行機とホテルの予約をしました。おっと参
加費・懇親会費の振込をしていないことを思い出しました。年会費は大会時
に請求されないように先週払い込みました。あとは飲食店のリサーチが必要
かな。皆さん、準備は万端ですか??

▽▼ 目次 ▽▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◎ 学会より会員のみなさまへ

◆研究交流委員会より
○大会プレ企画『みんなで研究検討会:話そう、味わおう、突き抜けよう!』

◆『質的心理学研究』編集委員会より

◆会務委員会より

■□■□会員からの情報コーナー

■ 研究会情報

◆甲南大学(文学部)開設60周年記念国際シンポジウム『戦争を生きた子ど
もたち?ドイツと日本の経験から』

■ 書籍情報

◆『育てる者への発達心理学 -関係発達論入門』

◆『オーラルヒストリーの理論と実践-人文・社会科学を学ぶすべての人のた
めに』

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◎ 学会より会員のみなさまへ
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◆研究交流委員会より:大会プレ企画『みんなで研究検討会:話そう、味わお
う、突き抜けよう!』

当委員会と共催で行われる大会プレ企画では、以下の発表について検討しま
す。参加申込はプレ企画前日まで受け付けています。みんなで研究検討しま
しょう!

【参加申込概要】
誰でも参加することが出来ます。費用は必要ありません。座席準備のため、
11月24日までに以下のアドレスに申込が必要です。tofuken2011@gmail.com

【日時】2011年11月25日(金曜、大会前日) 12時半?17時
【場所】広島市・安田学園セミナーハウス 研修室  広島市東区牛田新町1
丁目6-12
【ゲスト】箕浦康子先生、【司会】松本光太郎(茨城大学)

【主催】東京フィールド研究検討会
【共催】日本質的心理学会第8回大会準備委員会、日本質的心理学会研究交流
委員会

【発表概要】
<発表者1> 山崎徳子(常磐会学園大学)
「「きりた」の生きづらさはどこにあるのか:広汎性発達障碍のある子どもの
自己感」
私が指導員という立場で障碍児学童保育Pの広汎性発達障碍のある子どもたち
と過ごして7年が経ちました。「関与しながらの観察」を続け、エピソードをも
とに母親と対話することを続けるなかで、子どもたちの「問題行動」をどのよう
に低減するかという視点ではなく、彼らの「自己についての意識」が周囲の他
者に支えられて、どのような変容を遂げるかが、関心の中心になりました。
これまで、十分に自閉症らしい子ども(おかしな表現ですが)3人を分かろうと

てきて、自己感の変容とともに、「分からない」存在が、曲がりなりにも「分か
る」存在になる、という過程を見出してきたつもりでした。
今年は、いわゆる「軽度」と呼ばれる広汎性発達障碍のある子ども「きりた」
との3年間の歩みを振り返ろうとしています。「きりたにとっての私」「私に
とってのきりた」「きりたの母親?恵さんにとってのきりた」を描いてみたの
ですが、見えてきたのは、きりたにも恵さんにも残る、私の「分からなさ」、
周囲の人々のこの子どもを受け止められるだろうかという不安です。皆さんに
検討していただき、なんとかこの事例の着地点を定めたいと思います。

<発表者2> 山下智也(西日本短期大学)
「子どもの「地域への浸着」過程と、それを支える場の開かれ方」
近年、子どもを取り巻く生活環境の変化から、子どもが地域に生きづらくなっ
ています。それは単に子どもが地域で過ごせる空間が激減してしまったという
空間的な問題だけではなく、「子どものために」という理由で大人が安心を得
るために、子どもを地域から乖離させてしまうという、大人と子どもの関係性
の問題でもありました。そのような思いに至ったのも、私が子どもの遊び場
「きんしゃいきゃんぱす」という実践現場を切り開き、営み続けてきたからで
す。
7年前、昔ながらの商店街の空き店舗に入り込み、日常的に子どもたちと遊
び続ける中で、地域での子どもの「生」を目の当たりにしてきました。その中
でも、この「きんしゃいきゃんぱす」を拠点として立ち現われる、子どもと大
人の関係性は興味深く、その関係性の出現・変容過程を詳らかにすることを通
して、子どもの「地域への浸着」論(試案)を提示してきました。それは、子
どもの権利の1つである「子ども参加」論のオルタナティブとなるとともに、
「子どもと地域との乖離」問題の解決へと踏み出す糸口でもあると考えます。
とはいえ、まだまだ未熟な論ですので、本研究会での議論を通して、多くの気
づきが得られれば幸いです。

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◆『質的心理学研究』編集委員会より

今年の年次大会は、はや来月と近づいてきました。本誌編集委員会では、
特集と連動させた企画として、再来年度末刊行の第13号「「個性」の質的
研究?個を捉える、個をくらべる、個とかかわる?」(責任編集者:渡邊
芳之・森直久)をめぐって、編集委員会企画シンポジウムを準備していま
す。会員どうしで最先端の議論を楽しみ、成果を投稿へとつなげていって
いただければ幸いです。

来年度末に発刊予定の第12号は、特集「文化と発達」を掲載します。こ
れについても昨年の大会で編集委員会企画シンポジウムが行われ、大いに
議論したことは記憶に新しいところでしょう。この特集論文の投稿締め切
りは、10月末日に迫っています。10月12日現在1本届いておりますが、例
年締め切り前には増えるようです。さらなる投稿をお待ちしております。
なお今年度に新規投稿された一般論文の数もご報告しますと、特集とあわ
せて合計11本となっています。

今年度末に発刊される第11号に向けては、震災関連企画としての書評特
集の編集作業が進んでいます。震災に直接関わる書籍のみならず、間接的
に我々をサポートしてくれる書籍も含めて、編集委員会と震災ワーキング
グループで選びました。震災体験を振り返って吟味し、今後の生き方を考
えながら前に進んでいくよすがとなる書籍を幅広く取り上げます。本学会
らしい研究実践が、そこから芽生えてくることを願っています。

(『質的心理学研究』副編集委員長 柴山真琴)

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◆会務委員会より

会費の請求がお手元に届いたみなさん。ぜひ、今年度(まで)の会費の納
入をお願いします。
なお、次年度からは事務を委託しようと思っていますので、白梅事務局か
らの督促も今年度限りです。。。
さて、2011年10月14日現在の会員状況は以下のとおりです。

●会員数:1041名
●2011年会費納入率:58%

さて、広島での学会も近づいてきました。今年度の懇親会、大学で行いま
すのでおそらくリーズナブル(お安い)設定になっていると思います。日頃、
話す機会のない先生方と話すことができるチャンスです。ぜひご参加くださ
い。誰かと話をしてみたいけど、気後れする、という方は私が責任もってお
話できるように繋ぎますので、遠慮無くお申し出ください(私と話すのに気
後れという人は(笑)、立命館大学の名札を着けている学生・院生を介して
私にたどりついてください)。

(会務委員会 サトウタツヤ)

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■□■□会員からの情報コーナー<情報提供は、15日までにお願いします>

【注意!】以下の情報は原則として会員の皆さまから投稿された情報をそのま
ま掲載しております。したがって、掲載された研究会は必ずしも日
本質的心理学会と関連するものではありません。内容・条件等を各
自にてご判断の上、ご参加ください。
【注意!】情報提供は、こちらから連絡がとれるアドレスをご記入ください。
記事に関して、ご確認させていただく場合があります。
また、掲載情報は、簡潔に編集させていただくことがあります。
研究会などの情報は、直前の変更が、学会ホームページに掲載
されていることがありますので、出席される方は、開催直前に
HPで確認されることをお薦めします。
【情報!】メールマガジンの情報コーナーは、月刊のため情報が遅れることが
あります。そこで、できる限りホームページでも情報を提供します
ので、ホームページの定期チェックをお願いします。

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■ 研究会情報    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆甲南大学(文学部)開設60周年記念国際シンポジウム『戦争を生きた子ども
たち?ドイツと日本の経験から』

「戦争と子ども」は、世界の安全と平和を考えるうえで、最も重要なテーマ
の一つである。「戦争の被害から子どもを救う」ことは、世界の紛争地域での
人道的支援活動の重要な課題である。では、日本で戦争を体験した子どもたち
は、どのような影響を受け、戦後の社会をどのように生きてきたのだろうか。
「敗戦国」である日本とドイツの子どもの経験を、世界の平和の実現への道に
つなげることはできないのだろうか。
ドイツでは、近年、大戦が残した市民への影響の研究が急速に盛んになって
いる。「戦争下の子ども時代」を主題とした研究プロジェクトを立ち上げ、そ
の一翼を担ってこられた、ミヒャエル・エルマン氏をお招きし、甲南大学が進
めてきた戦争体験研究の結果も披露しながら、戦争体験について見つめなおす
機会としたい。指定討論者には、NHKで数多くのドキュメンタリー作品を制
作されてきた大森淳郎氏、東京大空襲についてきわめて興味深い体験の発掘を
行っておられる田中禎昭氏をお招きする。
あわせて、写真展『戦火の子どもたち』を開催し、現在の「子どもの戦争被
害」を視野に入れることで、「私たち」の体験を世界の子どもにつなぐ機会と
したい。

日時:2011年10月23日(日)13:00?17:00
場所:甲南大学5号館511教室
プログラム
基調講演
ミヒャエル・エルマン (元ミュンヘン大学医学部教授、ドイツ精神分析協会)
『戦時の子ども時代を思い出すドイツ人』
シンポジスト発題
森茂起(甲南大学文学部)『日本における子どもの戦争体験?関西地域の聞
き取り調査より』
田中禎昭(すみだ郷土文化資料館学芸員、東京都墨田区)『語りうる戦争体
験、語りえない戦争体験』
大森淳郎(NHK制作局 文化・福祉番組チーフ・ディレクター)『ドキュメン
タリー制作による戦争体験の発掘と理解』
全体討論

入場無料・申し込み不要

ミヒャエル・エルマン(Michael Ermann)氏略歴
1943年 ドイツ、シュテッティンStettin(現ポーランド、シュチェチン
Szczecin)に生まれる。
ヴュルツブルク大学で、芸術、哲学を学んだのち、フライブルク、ハンブル
ク、ウィーンで医学を学ぶ。1968年フライブルクにて医師資格取得。
1971-76 シュツットガルト心理療法センターで研究および治療実践。精神分
析家訓練。
1976-85 マンハイム、精神衛生中央機関心身医学クリニック、主任医師
1978 大学教員資格
1980 ハイデルベルク大学、心身医学および精神分析部門主任
1985 ミュンヘン大学教授
1985-2009 ミュンヘン大学病院精神科、「心身医学と心理療法」科部長
2009年より、ミュンヘンにて、「心理療法と心身医学」クリニック開業
ドイツ精神分析協会理事、国際精神分析協会理事

?関連企画?
・60周年記念ギャルリー・パンセ企画展(511号教室前オープンスペース)
豊田直巳(フォトジャーナリスト)写真展 『戦火の子どもたち』
期間 : 10月17日(月)?10月30日(金)

・ギャルリー・パンセ関連企画
豊田直巳(フォトジャーナリスト)との対談
日時 : 2011年10月23日(日) 午前中(時間未定)
会場 : 511講義室
対談者: 豊田直巳(フォトジャーナリスト)、港道隆(甲南大学 哲学)

(情報提供者 山口智子 様)

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■ 書籍情報    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『育てる者への発達心理学 -関係発達論入門』
大倉得史(著)
ナカニシヤ出版

概要:青年期、初期成人期を経て、人はどのように親になっていくのか。また
子どもはどのようにして生まれ、どのように育っていくのか。著者自身の体験
や50近いエピソード記述を盛り込みながら、子どもと養育者の関係性の変容過
程を詳細に追いかけていく「実際編」。ピアジェやヴィゴツキー、ワロン、ウ
ェルナーなど、従来の偉大な発達心理学者たちの仕事について、関係発達論的
視点から整理していく「理論編」。関係発達論のポイントを押さえるための分
かりやすい入門書・教科書です。

(情報提供 大倉得史 様)

『オーラルヒストリーの理論と実践-人文・社会科学を学ぶすべての人のため
に』
ヴァレリー ヤウ著
吉田かよ子 監訳・訳 平田光司、安倍尚紀、加藤直子 訳
インターブックス 2011年9月10日発行
定価(本体4500円+税)

質的心理学会の会員のみなさまには、オーラルヒストリーにはあまりなじみ
がないという方もおられると思います。オーラルヒストリーは、個人の人生に
ついての「語り」という点についてはライフストーリーと同義に扱われること
もありますが、その名が示す通り出自が主に歴史学にあるため、インタビュー
を記録として残すことを前提としている点において特徴があります。つまり、
個人の「語り」を聞き取り、記録として保存し、アーカイブズとして公開する
ことで後世に伝えるという立場に立脚しているため、手法としてのみならず記
録されたインタビューそのものについても指す言葉であるといえます。保存さ
れている文書資料の多くは、古くは男性エリート中心の記述によるものであっ
たことから、声なき声を掬いあげる手段のひとつとしてオーラルヒストリーは
発展してきました。そのため、主に労働史、女性史、地域史の分野でさかんに
用いられています。

原著者であるValerie Yowは、ジャーナルOral History Reviewの編集に携わ
るとともに、豊富なインタビュー経験をもとにアメリカの各大学でオーラルヒ
ストリアンの養成に力を注いできました。本書には、インタビューの実施には
どのような問題に直面しがちであり、その場合どのようなことに気をつけてど
う対処したら良いのかというインタビュー初心者にとって具体的で示唆に富む
内容が多く盛り込まれています。インタビューに関する法律や研究倫理の問題
といった我が国では未整備な課題についても、米国における踏み込んだ議論が
紹介されており、まさに「理論と実践」の双方をカバーする内容であるといえ
ます。また、記憶に関する心理学からの知見をもとに、口述記録の信頼性と妥
当性について考察する第二章「オーラルヒストリーと記憶」は、本学会会員の
みなさまにとって特に興味深い内容であるといえるでしょう。質的な研究につ
いては常にその「科学性」が議論されてきました。この点について、インタ
ビューを保存、公開するという前提にたったオーラルヒストリーの手法は、す
べての質的研究の実践者にとって参考になるといえるでしょう。本書は、2006
年の米国図書館協会によるBest Academic Textsのひとつに選定されています。
ご一読いただけましたら幸いです。

(情報提供 加藤直子 様)

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[クッピーより]
食欲の秋です。日々おいしいものをいただいています。その満喫する気持ち
のなかに、放射能が含まれていることを危惧する気持ちが入り混じっています。
食べ物に純粋に向かえる日は来るのでしょうか。放射能の拡散から免れた地域
で食事をする際には、どこか後ろめたい気持ちになります。広島でおいしいも
のを食べているときにも後ろめたい気持ちが付きまとうのでしょう。いやはや…。

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編集:日本質的心理学会研究交流委員会
第84号担当:坂本將暢・徳田治子・松本光太郎
発行:日本質的心理学会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaqp/
発行日:2011年10月20日
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