日┃本┃質┃的┃心┃理┃学┃会┃メ┃ル┃マ┃ガ┃2┃0┃0┃6┃
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編集:日本質的心理学会研究交流委員会
日本質的心理学会 メールマガジン No.23======================2006/6/20
クッピーです。今年は、雨が多かったせいか、アジサイが、見事な
色づきで、楽しませてくれています。本年度も、質的研究の研究会
に対する助成事業を行います。よろしくお願い申し上げます。
さて、今回は本山さんの、さわやかな風が、入江泰吉さんという写真家
を紹介してくれています。「雪の東大寺南大門」の写真でありませんが、
以下のサイトに、少し写真の紹介がありますので、お楽しみ下さい。
http://www1.kcn.ne.jp/~naracmp/ncmp_j/j04wa/jwaco_irie.html
来年の大会は、奈良女子大学で開催とのことです。奈良にお出かけ
ついでに、立ち寄られてはいかがでしょうか。
▽▼ 目次 ▽▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆募集!2006年度 質的研究の研究会に対する助成事業
●風に聞く・風を追う:匂いたつ写真 本山方子
●学会より会員のみなさまへ:<事務連絡・各委員会報告>
●「質的研究」情報コーナー:
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☆ 募集!2006年度 質的研究の研究会に対する助成事業
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本年度も、質的研究の草の根の広がりを期待した、研究会の助成を行います。
ふるって、ご応募下さい。詳細は、このメールマガジンの最後にあります。
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風に聞く・風を追う:匂いたつ写真
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質的研究のキーパーソンに、大いに語ってもらうコーナーです。
それでは、今回の「語り」は、研究交流委員会の本山さんです。
☆☆☆ 本山方子 (奈良女子大学) ☆☆☆
奈良に入江泰吉という写真家がいる。大和路の風景や風物、仏像などの
写真が有名であるが、そのほかにも街や生活誌など様々な写真を撮影して
いる。生前は私の本務校の先、東大寺の近くに居を構えていた。彼の写真
を保存し展示することを目的に奈良市写真美術館が作られたほど、地元に
密着している。みなさんも彼の写真を目にしたことがあると思う。
写真は一見すると、寺社や季節の花々、里山や農村、仏像などいわゆる
奈良の風光明媚な景色や風物の写真ではある。しかし、奈良に暮らす人に
とっては、よく知られた風景や場所であり、実際に行ったことがなくても
奈良にありそうだと思える場所の写真である。写真として見せられること
で、こんな見え方があるのかと気づかされると同時に、えも言われぬフィ
ールド感覚が呼び起こされるのである。
例えば、「雪の東大寺南大門」という写真がある。雪が降り積もった銀
世界の写真ではない。まさに今降っている雪とそれに霞む画面いっぱいの
南大門の写真である。これを見ると、見慣れた南大門の前を奈良特有の底
冷えの寒さの中、立ちゆく感覚がよみがえる。あるいは、霧が立ちこめた
林の写真がある。一見したところではどこにでもあるような林である。
しかし、「霧たちこめる大仏殿への小径」という題名をみると「ああ、あ
のあたりか」と、朝の散歩で通ったことがあることを思い出す。霧に濡れ、
土がいまにも匂ってきそうな写真である。あるいは、仏像は生きている。
血の通った仏像がそこにある。何かに真剣に憂い、微笑み、考え事をし、
私との対話につきあってくれる仏像がいる。奈良というフィールドに暮ら
し、同じような風景を見ながら暮らす者に伝わる土地の感覚があることに
気づかされる。
入江泰吉はどのように撮影という行為を捉えていたのか。「入江泰吉自
伝」(1993)の 「気配を撮る」という項には次のようにある。
「大和路の場合は、それほど風光明媚な景観とはいいがたい。
だが、そのさりげない景観に、風景の「風」の趣が醸し出
されているのである。風は風味、風趣、風雅、風流、風格
などという時の風である。それの意味するものが、風景を
決める鍵を握っているのではないか。それは、風景の中に
醸し出される余情、気配といってもいいと思う。つまり目
には見えないもの、いうにいわれぬ情感、心象を指すので
はないだろうか。」(p.176)
そして、単なる農村風景を写した写真に終わらせないために、撮る側の
イメージに似合う情景を探り出さなくてはならないが、気象状況というの
はこちらから演出することができないため、実際には「待つ」しかない、
という。「期待できるのは僥倖の訪れだけ」であり、「偶然性に頼るほか
に方法はない」(p.180)という。
ここに、住まいとフィールドが隣接し、何百回、何千回とフィールドを
歩き回ることを可能にし、微細な気配のうつりかわりを感知し、誰よりも
確率高く「偶然」を引き込める地元の写真家の強みがある。
フィールドに住まなければならない、ということを言いたいのではない。
土門拳の仏像写真の方がいいという方はおられるだろう。フィールド感覚
に基づく研究というのは、風の趣をいかによびこむのか、いや、その風や
醸し出される余情や気配を感知する向かい合い方をいかにするのか、まさ
に、「風に聞き、風を追う」作業なのだとあらためて思う。
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学会より会員のみなさまへ
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◆◆◆事務局より
2006年度は4月以降6月までに59名の新会員を迎えました。
2006年6月12日現在の会 員は588名です。
2006年4月から白梅学園短期大学心理学科専任講師の小保方晶子さんが
学会事務局に加わりました。
2006年6月18日、日本質的心理学会第6回常任理事会および第5回理事
会が東京大学教育学部にて行われました(常任理事会の方が頻度が多いの
で回数が大きくなっています)。会議で報告・決定された主な事がらをお
伝えします。
2005年度決算(案)が議論の上承認されました。監査を受けたあと
2006年8月の総会で会員の皆様に議論していただくことになります。
2006年度予算(案)について議論の上一部修正して承認されました。
2006年8月 の総会で会員の皆様に議論していただくことになります。
会務委員会から役員選挙項目(案)、理事会規定(案)の提案があり議
論の上承認されました。今後、2005年8月の総会において選挙管理委員
会を構成し、2006年11月頃に理事選挙、2007年1月頃に理事長・常任理事
選挙を行うことが決定いたしました。
2006年秋までに会員名簿を発行いたします。名簿に掲載する項目について
は会員の皆様に直接問い合わせる予定ですのでご協力をお願いします。
来年の大会、2007年度・第4回大会は奈良女子大学で行われます
(大会委員長・麻生武先生)。日程などは追ってお知らせいたします。
文責・サトウタツヤ
◆◆◆編集委員会からのお知らせ
本年度から様々な分野から新たに5名の編集委員(鹿嶌達哉、戈木クレイグ
ヒル滋子、佐々木正人、田中共子、手塚千鶴子)を加え、22名の編集委員体制
で、本年度第1回編集委員会議が6月18日(於:東京大学)にて開催されました。
現在までで審査にかかっている論文は、前号からの再審査論文が8本、第6号
への新規投稿論文が27本,6号締め切り3月31日以後の受付投稿論文が3本となっ
ています。
6号審査過程を通じて審査の基準や手続きについて出てきた新たな課題等
(例えば一度掲載見送りになった論文を改稿し投稿する時の手続き等)について
は、編集委員会議やMLでの編集委員会で検討を重ねて今後執筆投稿の手引き等を
改訂し、ML等で会員の皆様にもお知らせしていく予定です。投稿される方はHPで
執筆要項の手引きの最新版をご確認の上投稿なさってください。論文については
年間を通して、投稿を受け付けています(7号特集論文、一般論文の投稿締め切
りは19年度3月31日です)。皆様からの投稿をお待ちしております。
(文責 秋田喜代美)
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■□■□「質的研究」情報コーナー<情報提供は、15日までにお願いします>
□■□
【注意!】研究会などの情報は、直前の変更が、学会ホームページに掲載
されていることがありますので、出席される方は、開催直前に
HPで確認されることをお薦めします。
【注目!】各種研究会の研究交流委員会共催(または後援)の要件についてを
HPに掲載しましたので、ご参照頂きたくお願いします。
http://quality.kinjo-u.ac.jp/kyousai-youken.html
【情報!】メールマガジンの情報コーナーは、月刊のため情報が遅れることが
あります。そこで、できる限りホームページでも情報を提供します
ので、ホームページの定期チェックをお願いします。
*会員限定ページは,「ユーザー名 member パスワード q-kaiin」
で,閲覧可能です。総会資料,メルマガのバックナンバー等を
読むことができます。
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■ 著書の紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
『科学の剣 哲学の魔法 ーー構造主義科学論から構造構成主義への継承』
池田清彦・西條剛央 著
価格:¥1,680 (税込)単行本: 261 p ; サイズ(cm): 19 x 13
北大路書房 ; ISBN: 4762824933 ; (2006/03)
池田は,ネオダーウィニズム乗り越えのため,構造主義生物学探求の中で「
構造主義科学論」を生み出していった。15年間無視され続けられたその発想
を継承し,西條は「構造構成主義」をうち立てていく。世代の架橋となる
2人の対話を収録。メタ理論をどう発想しどうつくりあげてるのか。
軽妙な語りの中に理論つくりのコツ,本の読み方や書き方のエッセンスが
詰まる。〔北大路書房HPより〕
是非、お読みいただきご意見いただければ幸いに存じます。
http://www.kitaohji.com/index_s.html
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■ 献本の紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
誠信書房さまより、学会に寄贈されましたので、ご紹介します。
題名: 心の探求ーエビデンスと臨床ー
著者: 熊倉伸宏
(東邦大学医学部教授)*学会員さんではありません。
判型・頁数 四六判・176頁
税込価格 2100円
刊行年月日 2006年5月20日
ISBNコード ISBN4-414-30330-3
せりか書房さまより、学会に寄贈されましたので、ご紹介します。
題名: 戦後世相の経験史
著者: 桜井 厚
(立教大学社会学部教授)*学会員さんではありません。
単行本: 262 p ; サイズ(cm): 21
価格: ¥2,520 (税込)
ISBN: 4796702733 ; (2006/05)
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■ 2006年度 質的研究の研究会に対する助成事業(募集)━━━━━━━┓
研究交流委員会では,昨年度に引き続き,都市部に限らず全国への質的
研究の広がりを目的として,研究会開催費の助成をすることとなりました。
応募要件は以下の通りです。申請は,学会ウェブサイト
( http://quality.kinjo-u.ac.jp/ )にある所定のフォームを利用して
ください。〆切は7月31日です。ふるってご応募ください。
1 助成対象は,質的研究に関する公開研究会とする。
2 研究会が主催し,日本質的心理学会研究交流委員会が共催する形の
シンポジウム,ワークショップ,講習会など(以下,企画物)を年度内
に開催することとする。*
3 研究会の代表者は,本学会会員であることとする。
4 企画物の登壇者には,本学会会員が一名以上含まれていることとする。
5 すでに活動している研究会も,新規に活動を開始する研究会も共に応募
できるものとする。
6 助成金は,企画物の終了後に,会計報告及び領収書に従って支給される
ものとする。**
7 助成を受ける研究会は研究交流委員会の審査により決定されることとする。
8 研究者や大学の数が限られた地方開催の研究会や,学際性の高い研究会
を優先的に助成することとする。
9 助成金は,主として企画物における遠方からの登壇者の旅費に充てるこ
ととする。登壇者の旅費が助成額の上限を超える場合も申請可能である。
10 他学会や21世紀COEプログラムなどの外部資金から経済的援助を得
ている研究会は,応募できないこととする。
11 企画物の広報は,本学会メールマガジンおよびウェブサイトを通じて会
員に周知することとする。
12 企画物の広報の際には,「日本質的心理学会研究交流委員会」が後援し
ている旨を記載することとする。
13 企画物の終了後速やかに,下記宛先に報告書を提出することとする。***
* 2006年度については,2006年8月1日から2006年3月31までに実施される
必要がある。
** 2006年度の助成額の上限は\50,000とする。
** 報告書について
A4用紙一枚程度に,企画物を中心とした研究会の活動報告
(企画物については,参加人数を含む),及び会計報告を
記載してください。書式は問いません。航空運賃や宿泊費
などについては,領収書を添付してください。報告書は
プリントアウトした上で,領収書と共に,
「〒150-8366 東京都渋谷区渋谷 4-4-25
青山学院女子短期大学 菅野幸恵」まで郵送してください。
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[クッピーより]
第23号はいかがでしたか?今回は、献本の紹介をしましたが、引き続き、
会員の書かれた著書の紹介も行っています。質的研究の内容でなくても、
クッピーが、関連をみいだして、紹介しちゃいます! 気軽に、教えて
下さい。
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編集:日本質的心理学会研究交流委員会
第23号担当:長谷川元洋・本山方子・湯浅秀道
発行:日本質的心理学会 http://quality.kinjo-u.ac.jp/
発行日:2006年6月20日
●メールマガジンは、学会からの配信専用ですので返信できません。
●学会に関するご意見・ご要望は以下のWebページからお願いします。
【学会事務局アドレス jaqp@shiraume.ac.jp 】
●メールマガジンに掲載する研究会等の情報やアイデアを募集しております。
情報提供・投稿の締切は、各号15日までにお願いします。
( http://quality.kinjo-u.ac.jp/cgi-bin/yomi-mailer/y_mail.cgi?id=info )
●アドレスの変更、配信の停止を希望される場合は、お手数ですが学会事務局ま
でご連絡ください。
●このメールマガジンに記載されている内容の一部または全てを無断で転載・
複写・転送・再編集することは、著作権の侵害となりますので、お控えくだ
さいますようお願い申し上げます。また、転載を希望する場合は、学会事務
局にご連絡下さい。 【学会事務局アドレス jaqp@shiraume.ac.jp 】
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