日┃本┃質┃的┃心┃理┃学┃会┃メ┃ル┃マ┃ガ┃2┃0┃1┃2┃
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編集:日本質的心理学会研究交流委員会

日本質的心理学会 メールマガジン No.88======================2012/2/20

東日本大震災が起きて、もうすぐ1年が経とうとしています。身の周りでは建
物や道路の補修工事が少しずつ進んでいます。今後の使用に支障がないようにす
る補修工事なので、地震の傷跡は残ったままです。人の心の傷が癒えることはな
いでしょう。悲しみを引きずりながらなんとか生きていけたらなと思います。

▽▼ 目次 ▽▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◎ 学会より会員のみなさまへ

◆『質的心理学研究』編集委員会より

◆『質的心理学フォーラム』編集委員会より

◆会務委員会より

■□■□会員からの情報コーナー

■ 研究会情報

◆制度的場面についてのエスノメソドロジー・会話分析研究会
(日本質的心理学会研究助成制度採択企画)

◆よそおいしぐさ研究会第12回研究会

◆東京フィールド研究検討会(とうふ研)

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◎ 学会より会員のみなさまへ
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◆『質的心理学研究』編集委員会より

『質的心理学研究』の最新刊が、待ち遠しい時期となりました。来月半ばに
は、おそらくお手元に第11号が届いているでしょう。初版部数は1500部、総頁
は228頁、本体価格は2800円として、郵送費などの必要経費の見積もりを進めて
います。

2012年2月12日には、今年度第四回目になる本誌の編集委員会が開かれました。
そこでは、早速次の第12号の発刊までのスケジュールと、更に第13号、第14号の
作成への道のりが話し合われました。第12号は、来年11月にはその掲載論文が出
版社に入稿され、12月には著者校正を開始して、3月には発刊の予定で進めてい
ます。また10月には、第13号の特集論文の締め切りを迎えますし、9月の年次大
会ではさらに先の、第14号の特集関連企画を考える予定です。こうして年単位の
サイクルをまわしながら、皆様のお手元に本誌を確実にお届けするための、途切
れることのない編集の営みを続けています。

2011年12月から2012年2月の投稿数は5本(全て再投稿)、掲載決定は2本、修正
掲載は1本、修正再審査は7本、掲載見送りは1本でした。本誌の主役は皆様の投稿
論文です。多くの読み応えある作品をお待ちしております。
まもなく投稿の手続きは電子化されます。先日の編集委員会では、そのシステム
の運用を担う業者による、試験プログラムのデモンストレーションが行われました。
実際に使い勝手を確かめながら、投稿の手引きの改訂などの作業が進められていま
す。

(副編集委員長 田中共子)

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◆『質的心理学フォーラム』編集委員会より

連載再開「質的心理学の東日本大震災 第2部」第3回

『フォーラム』第4号掲載予定の特集を先行連載しています。今尾先生には宮
城県での支援活動についてご執筆いただきました。企画の趣旨は第1部第1回(メ
ルマガ78号、2011年4月)に掲載しています。
(担当:八ッ塚一郎(特集幹事)・山田富秋)

☆──「支援がもたらした『何か』」今尾真弓(名古屋大学)

昨年7月から、ほぼ1ヶ月に1度の割合で宮城県沿岸部の小・中学校を訪問し、
緊急派遣スクールカウンセラーとして支援を行ってきている。昨年3月11日に
発生した東日本大震災は、子どもたちが学校で過ごしている時間に発生した。
また学校は、避難所となったり、運動場に仮設住宅が建ったりするなど、直
接・間接に、様々なかたちで震災の影響を受けることとなった。そしてスクー
ルカウンセラーの仕事は、各学校の被災状況とニーズを踏まえ、必要な支援を
探っていくことだった。

私が現地の学校に支援に入ったのは、5月の連休明けに学校がやっと再開して
から、約2か月が経った頃だった。津波で校舎が全壊し大きな被害を受けたこの
学校には、マスコミで取り上げられたこともあり、様々な団体、個人から膨大な
量の支援が押し寄せていた。電話はひっきりなしに鳴り、支援物資のトラックは
予告なく突然現れる。通常の来客に加え、支援の申し入れなどの突然の来訪者も
多く、教職員は電話や来訪客への対応に常に追われている状態だった。「外部対
応に追われて、通常の業務が進まない」と、ある先生はこぼされた。子どもや先
生の心の傷の回復にもっとも必要とされる日常生活の回復が、支援によって妨げ
られるのを見るのは辛かった。そして支援者である私も他ならぬ“外部”であっ
た。先生方が、支援を受け入れることの負担感を私に漏らしてくれたことが、せ
めてもの救いだった。

外部からの支援の中には、差し迫って必要のないものもあった。しかし支援を
“断る”という事は難しいことだった。「善意でやってくれるのだから、断るわ
けにもいかない」というのが先生方の言い分だった。東北人にみられる他者配慮
の気質ゆえ、支援する側の想いを汲み取らずにはいられない。従って、不要な支
援の申し出を断るよりも負担を感じつつ受け入れてしまう方が容易いようだった。
また、受けた支援に報いたいという思いも殊の外強かった。最初は支援してくれ
た人ひとりひとりに丁寧にお礼状を書いていたという。しかしそれでは通常業務
が滞ってしまう。申し訳ないと引き裂かれる思いの中で、お礼状を書くこともし
なくなっていった。

その後、夏休みを挟んで支援の嵐は止み、学校は徐々に落ち着きを取り戻して
いった。必要な支援は受け入れ、不要な支援は断ることができるようになって
いった。押し寄せる支援に疲弊していたかつての学校の姿はもうない。

このエピソードは、激甚災害という特殊な状況下の、いわゆる支援のマッチ
ングの問題と言えるのかもしれない。しかし私にとっては、単なるマッチング
の問題として片づけられない、複雑な意味を含み持つ出来事であるように思わ
れる。確かに、今回受けた多くの支援は人々の力となり、回復を助けた。受け
た支援に対する、人々の感謝の気持ちは大きい。しかし支援はその一方で、
人々の内にある「何か」を変えることにもなったのではないか―支援による
疲弊を経験したこと、支援に十分報いることのできなかったことは、人々に
何か複雑な思いを残すこととなったのではないか―そんな気がしてならない。
そして一支援者であった私自身の内にある「何か」も確かに変わったように思
う。

その「何か」は私にもまだ掴むことができない。他から見れば些細なこと
なのかもしれない。また、今は言葉にならないけれども、いつか言葉にでき
る時が来るのかもしれない。掴みがたい「何か」を考えながら、これからも
支援を続けていきたいと思う。

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◆会務委員会より

2012年度からの事務局移転のお知らせと会員状況

2012年度から、学会事務局を(株)国際文献印刷社へ移転します。4/1以降
の問い合わせは下記にお願いいたします。

新事務局連絡先

〒169-0075 東京都新宿区高田馬場4-4-19
(株)国際文献印刷社 気付 日本質的心理学会事務局
Mail: jaqp-post@bunken.co.jp   FAX:03-3368-2822

2月14日現在の会員状況は以下のとおりです。

●会員数 1052名
●2011年度会費納入率  67.7%

これまで本学会では、退会処分を行ってきませんでしたが、事務局移転に伴
い、年度末をもって4年間以上の滞納がある方、連絡先が不明の方については
退会処分とさせていただくことがあります。積極的な会費納入をよろしくお
願いします。

(会務委員会 サトウタツヤ)

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■□■□会員からの情報コーナー<情報提供は、15日までにお願いします>

【注意!】以下の情報は原則として会員の皆さまから投稿された情報をそのま
ま掲載しております。したがって、掲載された研究会は必ずしも日
本質的心理学会と関連するものではありません。内容・条件等を各
自にてご判断の上、ご参加ください。
【注意!】情報提供は、こちらから連絡がとれるアドレスをご記入ください。
記事に関して、ご確認させていただく場合があります。
また、掲載情報は、簡潔に編集させていただくことがあります。
研究会などの情報は、直前の変更が、学会ホームページに掲載
されていることがありますので、出席される方は、開催直前に
HPで確認されることをお薦めします。
【情報!】メールマガジンの情報コーナーは、月刊のため情報が遅れることが
あります。そこで、できる限りホームページでも情報を提供します
ので、ホームページの定期チェックをお願いします。

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■ 研究会情報    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆制度的場面についてのエスノメソドロジー・会話分析研究会

※本研究会は、2011年度日本質的心理学会研究助成制度の助成を受けています

【日時】平成24年3月26日(月) 11:30-18:00
【会場】新潟青陵大学6号館2階6205講義室兼ゼミ室
http://www.n-seiryo.ac.jp/access/index.html
(西門から入っていただき、真正面奥に見える建物が6号館になります)
【参加費】日本質的心理学会会員及び学生:無料(学生の方は学生証の提示を
お願いします)、その他の方:500円
【研究会の目的】「会話分析を使用して制度的場面をどのように研究するか」
を検討する。

【研究会の内容】
<研究会第一部>11:30-16:00(途中、ランチタイムを挟む)
下記の課題図書の各章について検討する。
Heritage,J.&Clayman,S. 2010. Talk in Action: Interactions, Identities,
and Institutions. Wiley Blackwell.
第1部:会話分析と社会的制度 担当:秋谷直矩(立教大学他)
第2部:緊急電話サービス場面 担当:岡田光弘(国際基督教大学)
第3部:医師‐患者の相互行為 担当:海老田大五朗(新潟青陵大学)
第4部:裁判、陪審員、紛争の解決 担当:北村隆憲(東海大学)
第5部:ニュースと政治のコミュニケーション 担当:酒井信一郎(共立女子
大学)
<研究会第二部>16:15-18:00
ヴィデオデータのデータセッションを行う。
●「ヴィデオデータの分析について」 担当 南保輔(成城大学)
●データ「医療・福祉場面のデータ」

【注意事項】
●研究会当日、レジュメは配付しますが、上記テキストの販売や貸し出しは行
いません。各自でご用意ください。
ただし、テキストを持っていなくても研究会に参加することは可能です。
●事前申し込み不要。レジュメを用意する関係上、下記連絡先までご一報いた
だければ幸いです。
●昼食は13:05-13:45を予定しております。当日学生食堂や学内の生協を利用す
ることは可能ですが、それ以外の店舗が近隣にございません。主催者側で特別
な手配もいたしません。昼食をご持参されることを強くお勧めします。
・当日は、19:00より新潟駅近郊で懇親会を予定しております。奮ってご参加く
ださい。

<本研究会に関する連絡先>
担当:海老田大五朗(新潟青陵大学)
E-mail: ebita@n-seiryo.ac.jp (全角の@を半角にご変更ください)
Tel:025-266-9561(研究室直通)

(情報提供 海老田大五朗 様)

◆よそおいしぐさ研究会第12回研究会

【日時】2012年2月29日 10:30~17:00(13:00~14:30 お昼休み)
【場所】武蔵野美術大学 新宿サテライト
【参加方法】無料。ただし会場の都合がありますので事前に下記までご連絡
ください。
【主催】公益社団法人日本心理学会よそおい・しぐさ研究会
【第12回研究会問い合わせ・申込先】 荒川 arakawa[at]musabi.ac.jp

第一部 「研究発表」 10:30-13:00
【発表1】
木戸彩恵(京都大学大学院教育学研究科)
「化粧行為の対話性―自己と他者の関係のあり方をめぐって―」

【発表2】
荒川歩(武蔵野美術大学)ほか
「女子大学生の服飾選択の自己/他者の接合面の変遷について」
(2011年3月に同研究会で木戸先生が発表されたデータを再分析したものです)

第二部 「読書会」 14:30-17:00
担当:荒川・木戸
Michael R. Solomon, Nancy Rabolt (著) のconsumer behavior in fashion
から下記の3章を抄読します。
2章 Cultural Influences on Consumer Behavior
5章 Individual Consumer Dynamics: The Self
8章 Psychographics: Personality, Attitudes, and Lifestyle

(情報提供 荒川歩 様)

◆東京フィールド研究検討会(とうふ研)

東京フィールド研究検討会は、広くフィールド研究を行なっている研究者に
ご自身の研究を公に、しかも長時間検討する機会を提供する研究会です。今
回は方向性の異なる3つの発表を予定しています。

【日時】2012年2月26日(日)12時15分~17時(開始時間変更しました)
【場所】武蔵野美術大学 新宿サテライトRoom E(新宿西口から徒歩5分)
http://cc.musabi.ac.jp/whatsnew/040413.html
【参加方法】無料。会場の都合がございますので、参加される場合は事前に下
記までメールでご連絡ください。
【申込先】荒川歩[arakawaアットmusabi.ac.jp] (アットを@に)

【研究検討1】
「トランスジェンダーを取り巻くコミュニティの変遷:部活動というコミュニ
ティに注目して」
小笠原美織(茨城大学)

【研究検討2】
「異郷に「通う」という支援をめぐる考察」
今尾真弓(名古屋大学)

【研究検討3】
「アイドルのある生活というシステム」
荒川歩(武蔵野美術大学)

【世話人】荒川歩(武蔵野美術大学)・徳田治子(高千穂大学)・松本光太郎
(茨城大学)

(情報提供 荒川歩 様)

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[クッピーより]
「君はそう決めた(You Just Decided) 」という曲があります。私には決定的
に分からない君の意思、君の意思を私が知るのは君が意思を実現した後である
こと、この曲のタイトルはそんなことを考えさせられます。2月3月は別れの季
節です。君との別れは避けようがあるのか、それとも私にはどうしようもない
ことなのか、季節柄そんなことを考えてみてはどうでしょう。
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編集:日本質的心理学会研究交流委員会
第88号担当:坂本將暢・徳田治子・松本光太郎
発行:日本質的心理学会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaqp/
発行日:2012年2月20日
●メールマガジンは、学会からの配信専用ですので返信できません。
●学会に関するご意見・ご要望は以下のWebページからお願いします。
【学会事務局アドレス jaqp@shiraume.ac.jp 】
●メールマガジンに掲載する研究会等の情報やアイデアを募集しております。
情報提供・投稿は、各号15日までにお願いします。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaqp/toiawase.html
(メールソフトによっては、改行されていることがあります)
●アドレスの変更、配信の停止を希望される場合は、お手数ですが学会事務局
までご連絡ください。
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