第20回大会は2023年11月4日-5日の日程で、立命館大学大阪いばらきキャンパスで行われます。前日11月3日夕刻からは、ウェルカム・セッションとして、ワークショップも数多く出ます。大会のテーマは「世界を制作する」です。3年を超える長期間にわたったコロナ禍もようやく終息を迎え、種々の規制も緩和されました。ポストコロナという新たな時代が到来したように思います。社会の隅々にオンライン化が進み、人々の交流のあり方も大きく変化しています。高速度で交わされるデジタル情報データの洪水に受身にさらされてしまいがちです。対話型AIが作り上げてくれる文書、画像に感心していると、足元をすくわれそうです。フィールドに出て、インタビューを行い、そこで感受された質を活かし記述を磨く。ほぼ手作業、手造りで行ってきた質的研究法そのものも、これから大きく様変わりするでしょう。
20年前、記念すべき第1回大会京都大学の会場は参加者であふれ返り、すごい熱気であったことを思い起こします。KJ法、あの川喜田二郎ご本人が登壇されたこともよく記憶に残っています。いかにも頑固一徹の声ぶり、語り口、表情は今も印象に残っています。川喜田は「KJ法は平和を作る」と言っていました。この時代にこそこの声を活かしたいものです。KJ法はかつて発想法と呼ばれていました。創造や発見のための方法です。発見は無からは生まれません。まず素材が要ります。異質の、混ざり合いそうにない素材をまず、並べ置いてみる。そのかけ合わせ、調合、選択、配列を通して、元の素材とは異なる色合い、形、イメージ、そして言葉が生まれてきます。KJ法の根っこには、俳諧連歌のような座を囲みゆったりと配合の妙を愉しむ、私たちの文化が育んできた遊び心がありそうです。
KJ法もいつの頃か発想法というより、私たちになじみの質的研究法の一つになってしまいましたが、この辺りで、その発想のルーツに戻ってみるのもよいかなと思います。類縁、近接するという感覚は意味上の近さでだけではないでしょう。「何かしら関係するな」という直観を大切にすることが、後になって実ってくる方法だと思います。質的研究は何かを制作するというポイエシス(詩作)の作業そのものです。手間と時間がかかります。制作するというのは無からは生まれません。素材、マテリアルを手になじませながら、並べたり、重ね合わせたり、つないだりすると、そこに思わぬ感触が湧いてきます。作ることのリアリティは、形になったものがすべてではなく、むしろその制作プロセスそのものにあるように思います。天球に輝く星空のいくつかを組み合わせ図柄がふと浮かび上がる。その発見の驚きを共にしたいですね。
大会会場の立命館大学大阪いばらきキャンパスは、新大阪駅からも、大阪空港(伊丹)からも近く、JR茨木駅から徒歩5分。阪急・大阪モノレール南茨木駅から徒歩10分程度。至便です。対面を基本とする従来の形式で行います。多様な企画を準備してまいりたいと思います。皆様をお迎えすること楽しみにしております。
(第20回大会準備委員長 森岡正芳)
大会ウェブページの参加方法をご確認のうえ、ご登録どうぞよろしくお願い
いたします。なお事前に予定していた抄録の送付については、事前参加申込みを
された方も含め、当日配布に変更になりました。
大会前日(11/3)の講習会についても、まだ空きがある講習会がございます。
ぜひ前向きに参加を検討していただきたいと思います。
皆様の参加を名古屋でお待ちしています。
第20回大会ウェブサイト https://www.jaqp2023.jp/
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- 第20回大会 2023年11月4日-5日 立命館大学 大会テーマ:世界を制作する