締切:2019年10月末日(厳守)→(受付終了)

特集主旨:近年、医学や看護学領域におけるプロフェッショナリズム教育の重要性が叫ばれているのをはじめ、業務内容の拡大や質の向上に伴う資格化など、プロフェッショナル領域における役割の拡大、拡張、変容が生じている。 例えば、看護の分野では、複雑で解決困難な看護問題を有する個人や家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するため、特定の専門看護分野の知識・技術を持つ専門看護師や認定看護師といった制度を設けている。また、2016年度からは、特定の研修を受けることで、看護師が医師の診療行為の一部(38行為)を担えるようになるなど、専門的知識や技術を逞しくするという方向での専門性の拡大がすすんでいる。

一方、在宅支援のような現場では、互いの職種が各々の専門性を発揮し自らの役割に固執するのではなく、あくまでサービスを受ける側のニーズにあわせて、「何でも屋」の役割を担うような、専門職の行為や役割を柔軟に変容させていくという意味での専門性の拡大もみられる。

このように、プロフェッショナルの拡大、拡張、変容は多様であるが、どのような専門家を目指すのか、プロフェッショナルとしてのあるべき姿を議論することが、専門性を問う重要な敷居になると思われる。そのためには、そもそも、その場に関与する人々が、プロフェッショナルという言葉に、どのような意味を込めているのか、吟味することが重要ではないだろうか。

広辞苑によれば、プロフェッショナルとは「ある学問分野や事柄などを専門に研究・担当し、それに精通している人」 とあり、専門家のことを指すが、そもそも専門性は資格に由来するものなのか、それとも、その経験に長けているという点で当事者性をも内包するのかという議論もあるだろう。「ケア」という行為1つをとってみても、保護、看護、支援、教育とその行為に込めた専門性の意味内容は幅広く、それらを実施する行為者も、保育職、看護職、教師など多様である。

もちろん、特定の資格を取得しているもののみが従事可能で、資格がなければ、その業務を行うことが禁止されているような専門家も存在する。介護福祉士、キャリアコンサルタント、公認心理士などの国家資格化の動きにみるように、資格化することで専門性の資質向上を図るという意図もあるだろう。しかし、私たちは、日々の暮らしの中で、資格を取得していても、プロフェッショナルとは呼べないような行為が存在することや、逆に、資格が無くても、その名に相応しい振る舞いが存在することも知っている。では、この時、私たちは「プロフェッショナル」という言葉にどのような意味を込めているのだろうか。

今回は、こうした「プロフェッショナル」というキーワードを基軸として、「プロフェッショナルの拡大、拡張、変容」をテーマに考えていきたい。「プロフェッショナルの条件」や「越境するプロフェッショナル」など、プロフェッショナルという言葉に纏わりつく意味内容をはじめ、その行為主体は誰を指すのかなど、様々な観点からの論考を期待している。