質的研究法には,行動観察,ナラティブアプローチ,フィールドワーク, グラウンデッド・セオリー・アプローチ,アクションリサーチ等,様々な 手法が含まれるが,本来,研究方法とは研究目的を的確に達成するための 手段であり,研究方法が限定された研究は成立しえない。

だが,質的研究法には体系的な教育カリキュラムが確立しておらず,初 学者は親和性のある研究法に固執したり,試行錯誤を繰り返す傾向が強い。 関東・関西地方の都市部であれば,研究会や講習会等を通して,質的研究に 関するネットワークの構築や情報交換がなされ,初学者でも多様な質的研究 法の手法を用いる可能性を見いだすことができるかもしれない。

しかし,四国地方のような地方都市においては,質的研究法を習得した個 々の大学教員のキャパシティに依存する(属人性が高い)傾向にある。また, 初学者にとって,実際に質的研究が進められる過程を見聞きすることも重要 であるが,地方都市では卒業論文や修士論文等で質的研究を用いる機会が少 なく,研究過程を擬似的に体験することが少ない。

本ワークショップは,地方都市の質的研究者が抱える課題・問題点を鑑み、 四国地方で質的研究を行う人的資源、情報資源のネットワークを構築し, そのネットワークを利用した質的研究に関する情報共有の可能性を探ること を狙いとしている。

ワークショップは,四国地方で質的研究を行う研究者に研究成果を発表し ていただく。話題提供者は、主に障害児教育、保健医療福祉領域の実践現場 で活躍されている研究者である。その後、同じく四国地方で質的研究に取り 組む2名の研究者から、心理学・看護学分野における質的研究の意義、現状 等についてコメントをいただく。その後、フロアからの反応も含めて、四国 地方における質的研究に関する情報共有、ネットワーク構築について議論を 深めたい。

日時

平成19年3月25日(日) 13:00-16:00

場所

愛媛大学教育学部 大講義室

登壇予定者

<話題提供者>
大豆生田浩子(愛媛大学大学院教育学研究科)
松尾基史(医療法人五月会 須崎くろしお病院)
相模健人(愛媛大学教育学部)
光宗昌哉(愛媛大学教育学研究科学校臨床心理専攻)

<コメンテーター>
山下 光(愛媛大学教育学部)
竹崎久美子(高知女子大学看護学部)

参加費

無料

問い合わせ先

愛媛大学教育学部苅田研究室

  • 大会外企画
  • 四国地方における質的研究法に関するネットワーク構築の可能性を探る