司会・解説

斎藤清二教授(富山大学保健管理センター)

日時

2006年6月2日(金) 午後6時半~

立命館大学衣笠キャンパス 末川会館ホール

概要

NBM(ナラティブ・ベイスト・メディスン)は,患者の語る物語を全面的に尊重し,患者と医療者の対話の中から新しい物語が生まれてくることを期待する,という基本姿勢をもっている医療である。今回の講演では、「文学の分析と解釈(literary analysis)」の概念や理論をどのように使えば、医療者としての仕事の助けになるのかということについて考えていく。哲学者・マッキンタイアは、「私たちは私たち自身の物語の共著者にすぎない」と述べている。私たち自身の物語はまた他の人の物語の部分をも構成しているし、それぞれの物語は他者の物語の制限としても働くのであるから。こうした劇学的メタファーが患者及び患者のケアやキュアに従事する医療者にとって有効なのかという疑問もあるだろうが、この問いに3つの点から答えたい。まず、ナラティブ・アプローチは患者の病い経験を深く理解するのに役立つ。次にこのアプローチは効果的なヒーリング的関係を構築できる。そして第三にナラティブ・アプローチは倫理的選択肢をより明瞭なものにし、道徳的イマジネーションを刺激するのである。

主催

本企画は、日本学術振興会 人文・社会科学振興のためのプロジェクト研究事業 「ボトムアップ人間関係論の構築」より助成を受けています。

共催

オープンリサーチセンター整備事業
「臨床人間科学の構築」研究法開発プロジェクト

日本学術振興会科学研究費
「語りをとらえる質的心理学の研究法と教育法」(代表 ・やまだようこ)

日本学術振興会科学研究費
「患者主導型科学技術研究システム構築のための基盤的研究」(代表 ・松原洋子)

後援

日本質的心理学会