日┃本┃質┃的┃心┃理┃学┃会┃メ┃ル┃マ┃ガ┃2┃0┃1┃1┃
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編集:日本質的心理学会研究交流委員会

日本質的心理学会 メールマガジン No.80======================2011/6/20

第8回広島大会の案内が届きました。このタイミングで広島を訪ねることはめ
ぐりあわせのようなものを感じます。先の戦争において原子力爆弾が投下された
ことに加えて、広島には海と山と空の結節点のように感じられる厳島神社があり
ます。自然とは何だろうか、そんな思索を深めに大会の前後に訪れてみてはいか
がでしょうか。

▽▼ 目次 ▽▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◎ 学会より会員のみなさまへ

◆日本質的心理学会第8回大会のご案内

◆研究交流委員会より
○新企画『質的心理学研究法セミナー』
○「研究奨励制度」「研究企画助成制度」の募集
○研修会「子どもをみる行為をみつめなおす」の開催報告

◆『質的心理学研究』編集委員会より

◆『質的心理学フォーラム』編集委員会より

◆会務委員会より

■□■□会員からの情報コーナー

■ 研究会情報

◆第1次世界健康質的研究学術大会(ソウル)
テーマ:Understanding and Caring for the Human Being

◆東京フィールド研究検討会

■ 著書の紹介

なし

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……………………………………………………………………………………………
◎ 学会より会員のみなさまへ
……………………………………………………………………………………………

◆日本質的心理学会第8回大会のご案内

日本質的心理学会第8回大会は、晩秋の広島で開催いたします。
第8回大会HPを公開しました。http://home.hiroshima-u.ac.jp/yasuda/index.html

会期: 2011年11月26日(土)・27日(日)
会場: 安田女子大学 (広島市中心部からアストラムラインで20分)
大会テーマ: 文化とプロフェッションの生成と継承

本大会のメインテーマは、『文化とプロフェッションの生成と継承』といたしま
した。文化の生成は、心理学、社会学、教育学、福祉学、医学、看護学、人類学、
建築学等、本学会会員のあらゆる専門分野にまたがり、有機的な連関をもっていま
す。そしてそれぞれの分野で発展してきたプロフェッショナル・ワークはまた、歴
史と社会の接点に生み出される「文化」そのものです。一方で、今日、それらの文
化やプロフェッションは、厳しい継承の危機に直面しているとも言わざるを得ませ
ん。本大会では、 それらの生成と、世代を超えた継承の営みについて、参会者の皆
さまとともに考えていきたいと思います。
大会の内容は、これまでの大会を引き継ぎ、次のような企画を予定しています。大
会HPのそれぞれのページをご覧ください。
1) 研究発表: 今大会のテーマ、その他の研究発表(ポスター発表)
2) シンポジウム: 準備委員会企画、各種委員会企画、自主シンポジウム
3) 小講演: 大会のメインテーマに関する質的研究に携わってこられた先生にお願い
して、ご自身の研究と研究法について語っていただきます。(自薦、他薦を問わず、
ご推薦下さい)
4) 質的研究法・データ分析法に関する講習会: 本学会が発足した当初からの「質的
心理学研究法」に対する熱い関心を引き継ぎ、 さらなる発展をめざして、 講習会
を開催します。
大会記念講演(一般公開)として、内田樹先生(神戸女学院大学 名誉教授)をお迎え
し、「現代日本の霊性と鎮魂?受け継がれてきた癒しの心?」というテーマでご講演
をいただきます。内田樹先生は、皆様もよくご存じのように、現代のわが国において、
教育・社会・文化等の領域で、最もシャープな論客のお一人です。講演のテーマは、
東日本大震災を経験したわが国の現在の心的状況と被爆地 広島での開催にふさわしい
ものと考えています。
大会の詳細及び申し込み方法等は、第8回大会HPの参加案内・申し込みページにてご
案内しています。皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。

第8回大会準備委員一同
委員長 岡本祐子

事務局から(澤田英三)
日本質的心理学会第8回大会は、広島市北部(中心部から20分)に位置する安田女子
大学で行います。岡本祐子委員長をはじめとして、広島近郊を準備委員の知恵を出し合
い広島大会としての企画内容を考えておりますが、特別な催しを準備しているわけでは
ありません。ただ、もてなしの心は大切にしながら、参加者のみなさまをお迎えしたい
と思っています。
研究発表(ポスター)は、オープンなアトリウムに2日間掲示し、責任在席時間外で
も発表者との議論や発表者抜きでの議論が展開できるようにします。 特に今大会では、
質的心理学研究第12号特集テーマ『「個性」の質的研究』に関連する個人発表を区分け
して、特集テーマに関する議論ができるスペースを設けます。また昨年度と同様に、研
究発表は1日目(11/26)午前中に行い、その夕方の懇親会で優秀発表を表彰する予定で
す。懇親会は、昨年度の茨城大会と同様に、学内の学生食堂で行います。院生のみなさ
んも参加しやすい値段設定にしていますので、こちらにも積極的に参加していただいて、
さまざまな研究者と交流できることを願っております。
大会の企画・運営に関して、不明な点、ご希望などがありましたら、
japq8jimu@yasuda-u.ac.jpまでお問い合わせください。
なお、第8回大会は、下記の委員で準備させていただくことになりました。何卒よろ
しくお願い申し上げます。

第8回大会準備委員会
岡本祐子(委員長,広島大学)、澤田英三(事務局長,安田女子大学)、南 博文(九
州大学)、田中共子(岡山大学)、中坪史典(広島大学)、鹿島達哉(広島国際大学)、
小嶋由香(安田女子大学)、永田彰子(安田女子大学)、 渡邉照美(くらしき作陽大学)、
奥田紗史美(神戸女学院大学)、岡花祈一郎(福岡女学院大学)
協力委員
境愛一郎(広島大学)、深瀬裕子(広島大学)

*********************************

◆研究交流委員会より:新企画『質的心理学研究法セミナー』

会員の技能習得のニーズに答えるべく検討を重ねてきました。その結果、本年より、
試行的に『質的心理学研究法セミナー』を開催することといたしました。
この企画は、①長時間(4時間以上)の講習、②事前登録制の少人数、③事前課題付
きの参加型の3点が特徴です。
来年度以降の継続は今期の成果に依ります。是非、ご参加下さい。

【申込先】seminar_110923@yahoo.co.jp(※seminarと数字の間にアンダーバー)
【申込期限】6月30日(木) ※定員に満たない場合は再募集
【問い合わせ先】樫田 kashida@ias.tokushima-u.ac.jp
【登録料】1回の参加につき、日本質的心理学会会員は2,000円(学会との同時入会も可)、
非会員は4,000円。 ※2回を同時に申し込んだ場合、優先的に選抜され、かつ登録料が
500円安くなる。 ※定員超過時は研究構想案で選抜する。
【オプション】課題が十分なレベルで達成されたと認定された方には、セミナー受講に
関する修了証を郵送します。

○第1回質的心理学研究法セミナー
『インタビューの仕方とまとめ方の初歩(半構造化面接の場合)』
http://web.ias.tokushima-u.ac.jp/social/kasida/presentation/110923_seminar1.html
(詳細な情報)
【日時】2011年9月23日(金・祝) 10:00?18:30
【場所】安田女子大学9号館5階 9521教室
http://www.yasuda-u.ac.jp/top/campus/campusmap/index.html
【スケジュール】9:45受付開始(班分けした名簿の配布)
10:00?11:00 第一講義 インタビュー方法の概説
11:10?11:50 模擬インタビューと質疑(登壇者1名立候補募集中)
11:50?12:30 第一グループワーク(6人ずつ3班)
13:30?14:00 第二講義 インタビューからデータ分析へ
14:10?14:40 第一グループワークの発表
14:40?16:10 第二グループワーク
16:10?16:20 総括討論とまとめ
16:20?16:30 事後課題(オプション)の説明
【教科書】能智正博著、『質的研究法』、2011、東京大学出版会
【講師団】樫田美雄(徳島大学、日本質的心理学会研究交流委員会委員長)ほか
【申込時の記載内容】1)氏名と所属(無所属でも可)、2)連絡先、3)研究主題と研究領
域、4)研究構想案(500字程度)、5)会員/非会員の別

○第2回質的心理学研究法セミナー
『トランスクリプトづくりの実際と会話分析の初歩(初級者向け)』
このセミナーは、書物だけでは、イメージすることが困難なトランスクリプトづくり
の実際と会話分析の実際を、講師と一緒に体験することで、自力で学び続けるきっかけ
を得ようとするものです。
http://web.ias.tokushima-u.ac.jp/social/kasida/presentation/111022_seminar2.htm
(詳細な情報)
【日時】2011年10月22日(土) 10:00?16:30
【場所】京都大学吉田キャンパス 稲森財団記念館3階 小会議室I
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_b.htm (京阪丸太町駅から鴨川
沿いに北へ2分、川端通と近衛通の角)
【教科書】検討中(受講登録者には、追って連絡します)
【講師団】川島理恵(東京医科大学)、樫田美雄(徳島大学)、高田明(京都大学)
【募集人数】15?20名程度
【事前課題】参加者には、事前課題が課されます(A4で1?2枚程度)。
【申込時の記載内容】1)氏名と所属(無所属でも可)、2)連絡先、3)研究主題と研究領
域、4)研究構想案(500字程度)、5)会話分析との接触歴、6)会員/非会員の別

◆研究交流委員会より:「研究奨励制度」「研究企画助成制度」の募集

○「研究奨励制度」について2011年度分の募集を開始いたします。ふるって応募
ください。

「研究奨励制度」とは、大学院に在学中の方を対象に、国内外のフィールド調査
の費用や、学会への参加・発表費用などとして1名につき10万円を助成するとい
うものです(2件まで)。
継続的なフィールド調査を予定されている方や、国際学会への参加を検討されて
いる方におすすめします。2011年度分の〆切は2011年7月末です。9月から調査を
開始いただけるよう,8月末までに審査を終了します。

【申請の手続きとスケジュール】申請時に大学院在学中であることが条件です。研究
計画書および予算計画書の様式を学会ホームページからダウンロードし、必要事項を
記入して電子メールで担当者まで送付してください。メールのタイトルは「質的心理
学会 研究奨励制度応募」としてください。
【連絡事項】氏名、所属、連絡先(住所、電話、メール)
【研究計画書】研究計画(研究課題名、目的、方法、予想される結果と意義:全体
で1,200字程度)
【予算計画書】物品購入費、国内旅費、国外旅費、謝金、その他等、費目ごとに具
体的にご記入ください。
【〆切】2011年7月末

なお、助成を受けた次の年度か、その次の年度の大会で発表すること、および
「質的心理学フォーラム」へ寄稿していただくことが条件です。申請の内容を実
現できなかったと判断される場合には、助成金の返還をお願いすることがありま
す。詳しい応募方法などは学会ホームページでご案内しています。応募およびお
問い合わせは以下までお願いします。

研究交流委員会 研究助成担当
梅崎高行:umezaki「あっと」konan-wu.ac.jp(「あっと」を@に変換してくださ
い)

○「研究企画助成制度」の応募要領

研究会・講習会などの企画を学会がサポートします。費用も最低5万円?最高10
万円を助成します(1?2件を採択します)。なお、今年度中に開催することが応
募条件です。9月から活動を開始いただけるよう,8月末までに審査を終了します。

テーマ例(企画の具体的な内容については、相談に応じます)
・理論について(エスノメソドロジー、活動理論、社会構築主義など)
・研究方法について(医療の会話分析、教室の相互行為分析など)
・特定のテーマについて(記憶、仕事場、介護、ひきこもりなど)

講師の紹介は学会がサポートし、広報についてもご協力します。なお、会場や、
必要な人員の確保、当日の運営は受け入れ側でお願いいたします。助成される費
用は、講師の謝礼、旅費、会場費、人件費、その他の実費です。

【応募の手続きとスケジュール】研究計画書および予算計画書の様式を学会ホーム
ページからダウンロードし、必要事項を記入して電子メールで担当者まで送付して
ください。メールのタイトルは「質的心理学会 研究企画助成制度 応募」としてく
ださい。
【連絡事項】氏名、所属、連絡先(住所、電話、メール)
【研究計画書】希望するテーマ、開催地のめど、開催時期など
【予算計画書】物品購入費、国内旅費、国外旅費、謝金、その他等、費目ごとに具
体的にご記入ください。
【〆切】2011年7月末

助成を受けた場合、時間的に十分な余裕をもって(原則的に1か月前には)、学
会ホームページおよびメールマガジンで開催内容の周知に努めてください。
また、助成を受けた次の年度に「質的心理学フォーラム」へ研究会実施報告文を
寄稿してください。
さらに、研究交流委員会宛にも所定の報告書及び領収書(原本)を提出いただき
ますのでご準備ください。余剰金については返還いただきますのでご注意くださ
い。
申請の内容を実現できなかったと判断される場合には、助成金の返還をお願いす
ることがあります。詳しい応募方法などは学会ホームページでご案内しています。
応募およびお問い合わせは以下までお願いします。

研究交流委員会 研究企画助成担当
藤江康彦(研究交流委員会 研究助成担当):fujie「あっと」kansai-u.ac.jp
(「あっと」を@に変えて下さい。)

◆研究交流委員会より:研修会の開催報告

研究交流委員会による大会外企画として「子どもをみる行為をみつめなおす」が
実施された。大阪の私立幼稚園の園内研修の場を借り,公開保育とその後の研修か
らなる二部構成の会であった。以下に研修の概要を記し報告としたい。

自由時間のKの様子をどうみるかが議論の焦点とされた。期せずして研究者と実践
者が同じ子どもに目を止めていた。Kは遊びに没頭しているとは言いがたい様子であっ
た。「この様子は園の環境構成に問題があるためか」という問いに対し,フロアから
別の視点が提出された。「3歳児Kにとって,園生活に慣れる重要な試行錯誤の過程を
過ごしている」という見方であった。意見を求められたKの担任・副担任とも,この
視点に同意した。担任・副担任は,いまここを自分なりに過ごすKを受け止め,見守
る時期と捉えていた。年長クラスで過ごす(Kと似た)兄との比較から,他の教員も
その意見に同意した。
一見,遊びに没頭できていないと映るKの様子は,あるいはこの園が目指す環境構
成の産物とポジティブに捉えることができるかもしれない。直近の園便りにこうある。
「幼稚園には園生活に必要なもの以外は持ってこないようにして下さい」。近年では
保護者のニーズに沿い,何もかもが豊富に揃う園もある。加えて園児たちは日常生活
においても,豊かな物資に囲まれて暮らしている。言うなれば「退屈する暇がない」
状態を生きている。しかしこのような環境下で,保育が目指す能動的な(自己性をもっ
た)子どもは育つのか。環境を制限し,子どもの試行や工夫を待つ保育は,子どもの
みならず大人にとっても我慢が求められる。敢えてそのような保育を選び,保護者の
理解を求めつつ進める当園の保育において,Kはねらったいまを生きているとも捉え
られた。
今後の課題としてKの今後が挙げられた。当園を安定的また没頭して過ごした子ど
もが卒園(就学)後,学校生活に不適応を示す場合がある。子どものもつ個性とそれ
を育てる環境とのマッチングの観点から,Kの今後が考えられなければならない。
なお実践者と同じ子どもに目を向け,研修会の議論を主導した研究者は,主に質的
な方法論に依拠する研究者であった。また,兄との比較からKを見守る保育に根拠を
与え,かつKの今後を課題として指摘したのは,量的・縦断的研究者からの示唆であっ
た。
互いの視点の異同に気づき,それを越えて協働に至るという目標は,本研修会を経
てその第一歩が踏まれたものと考えられる。

(研究交流委員会 梅崎高行)

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◆『質的心理学研究』編集委員会より

秋の年次大会の準備が動き出しています。本誌編集委員会では、今年も特集と
連動させた企画を準備しています。再来年度末に刊行される第13号のための特集
は、「「個性」の質的研究?個を捉える、個をくらべる、個とかかわる?」(責
任編集者:渡邊芳之・森直久)です。このタイトルを冠した編集委員会企画シン
ポジウムで、大いに議論を深めたいと思います。次の研究への着想が生まれたり、
論文をまとめる視点への好刺激が得られたりして、特集論文の投稿につながって
いくようにと願っています。

現在募集中の特集論文は、来年度末発刊予定の第12号への掲載を目指した「文化
と発達」です。昨年度の年次大会では、この題を掲げて編集委員会企画シンポジウ
ムが行われ、多くの方々と関心を共有することができました。こちらの締め切りは、
来る10月末日です。すでに論文が届き始めており、締め切りが近づくほど増えると
思われます。
本年度はまだ始まったばかりですが、特集論文と一般論文をあわせて4月と5月の
新規投稿数は計2本となっています。今後のご投稿をお待ちしております。

今年度末に発刊される第11号に向けては、このたびの震災という大きな体験に向
き合い、私たちに何ができるかを問うために、緊急に書評特集を一つ追加する方向
で考えています。進むべき道を探る一助となる書籍を紹介していく予定であり、そ
れらをよすがに、これからを一緒に考えていければと思います。

(副編集委員長 田中共子)

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◆『質的心理学フォーラム』編集委員会より

1.意見論文を募集しています!

第2号の特集「物語りと共約幻想」に対する意見論文を募集しています。(第3
号掲載予定)
(1) 原稿の分量:1,700 字以上3,600 字以内(手引きの書式1 ページ35 字× 32行
で約1.5 枚?3.2 枚)。
(2) 締切: 2011年6月30日(木)メール入稿必着
※詳細は、質的心理学フォーラム第2号116ページをご覧ください。

2.第3号緊急特集「質的心理学の東日本大震災」メルマガ連載第3回

『フォーラム』第3号緊急特集の一部をメルマガで連載しています。白柿綾先生
は、看護師として、発災直後の福祉避難所に外部から支援に入られました。連載の
企画趣旨についてはメルマガ78号(2011年4月)をご覧下さい。(担当:八ッ塚一
郎(特集幹事)・山田富秋)

☆──「情熱と冷静を超えたところ」白柿綾(特定医療法人 和ホスピタル 看護師
(愛媛県松山市))

3月27日、私は支援ボランティアの機会を得て宮城県石巻市を訪れた。震災直後に
組織された「東北関東大震災・共同支援ネットワーク」を通じて、避難所で支援活動
をしている人たちを支援するという目的で、ある知的障害者施設に1週間滞在すること
になった。そこは震災前に施設としては閉鎖されていたが、奇跡的に津波の難を逃れた
建物で、他に設置された避難所から何らかの生活上のケアが必要な方々が運びこまれ
ており、そしてその方々をこの施設の福祉法人職員が支援しているという場所だった。
つまり、ここで支援活動をしている主体は、自らも被災して避難生活を送りながら他
の避難者を支援している人びとであった。

こういった場所で外から行ってできることは何か、結局私は滞在した1週間ずっと
このことを考え続けていたように思う。というのも、震災から2週間が経過したその頃、
外からやってくるボランティアの「何かやってあげたい」という思いが「何とかしよう」
と踏ん張っている地元の支援者たちの気持ちを邪魔することがあるという声を聴いたか
らである。避難所に入る前日にこの話を聞きながら、ボランティア事務局で「出しゃば
らない。張り切らない。いいとこ取らない」という心構えを教わった。今から思えばこ
の心構えはすごく当たり前のことだけれど、当時の私は行き過ぎた情熱がこみあげてい
たのだろうか、正直なところ心の中は少し動揺したが、この感情体験はとても貴重だっ
たと思う。

実際、ライフラインが整わず、避難者や支援者の出入りが激しく、混乱していた避
難所の中で私は一日に何度も「冷静に」と自分に言い聞かせることがあった。続々と
全国からやってくる支援者たちと避難所内のニーズのマッチング問題が現地の支援者
たちを疲労困憊させた。必要な物資や必要な支援は時間ごとに変化した。タオルが足り
ないと声を上げても多量に届きすぎれば避難所の幅をとるだけの物になる。炊き出し
チームが重なってやってくればご馳走が無駄にならないための工夫と手間が必要にな
る。突然やってくる医療チームに最優先の手当てをしてもらうためには、鋭い観察力
と判断力で医療ニーズを掴んでおかなければならない。そういったニーズと支援の隙
間が広がったために起こる支援者同士の衝突が暖も灯りもなかった避難所の空気をさ
らに寒々としたものにしそうだった。

とにかく、少しでも穏やかな空気を意識して過ごした5日目、ようやくライフライ
ンが復活した。さっそく浴室を掃除して準備したお風呂の湯気は、避難所内を本当
に温かくして多くの人たちを笑顔にした。避難所のみんなが20日ぶりのお風呂に入
れた夜遅く、現地の支援者の疲労度と着ている服がとても汚れていることに気がつ
いた。たずねると、その人は津波に浸かった時の服をそのまま着続けているという。
休むことができない心境もよくわかったけれど、でも休んで欲しいと初めて言葉にし
た。しかし、その人は「抱きかかえていた子どもが流されてもここで同じく働いてい
る同僚がいる。仕事があるだけありがたい。少なくとも給料と生活の場が自分には残っ
ている」と答えた。それからは言葉が出なかった。その時私は感情が熱くなったわけ
でも、冷静だったわけでもなく、語られたことを現実のことと受け入れることができ
なかったように思う。本当になんてことが起こってしまったのだろうか…ということ
ばかりが自宅に戻ってからも頭の中で繰り返された。

3か月がたち今は思う。悲惨な現実は存在している。そして、今後も人や町が再創造
されていく過程においては厳しい現実が続くだろう。私たちは支援者としても研究者
としても、目に見える形の支援だけではなく、圧倒されそうな現実に身を置き、目に
見えないものも共に体験し、そして記述していくことが必要だと思う。まずは、いか
にしてその現実に存在しつづけるかが大きな課題である。

**********************************

◆会務委員会より

会務委員会より
6月13日現在の会員状況・会費納入は以下のとおりです。
●会員数 : 1004名
●2010年会費納入率 : 70%
●2011年会費納入率 : 45%

登録会員数が1000名突破。ついに4ケタとなりました!
会費納入率が低いのが気がかりです。未納入の方、よろしくお願いします。

(会務委員会 サトウタツヤ)

……………………………………………………………………………………………
■□■□会員からの情報コーナー<情報提供は、15日までにお願いします>

【注意!】以下の情報は原則として会員の皆さまから投稿された情報をそのま
ま掲載しております。したがって、掲載された研究会は必ずしも日
本質的心理学会と関連するものではありません。内容・条件等を各
自にてご判断の上、ご参加ください。
【注意!】情報提供は、こちらから連絡がとれるアドレスをご記入ください。
記事に関して、ご確認させていただく場合があります。
また、掲載情報は、簡潔に編集させていただくことがあります。
研究会などの情報は、直前の変更が、学会ホームページに掲載
されていることがありますので、出席される方は、開催直前に
HPで確認されることをお薦めします。
【情報!】メールマガジンの情報コーナーは、月刊のため情報が遅れることが
あります。そこで、できる限りホームページでも情報を提供します
ので、ホームページの定期チェックをお願いします。
……………………………………………………………………………………………
■ 研究会情報    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆第1次世界健康質的研究学術大会
テーマ:Understanding and Caring for the Human Being

第1回世界健康質的研究学術大会が2011年 6月23日(木)?25日(土)まで
梨花女子大学で開催されます(組織委員長・辛瓊林教授)。メインテーマは
‘Understanding and Caring for the Human Being’です。
この件は、日本の広報を担当している YUN OKJONGさんから連絡をいただ
きました。
参加してみたい方、質問がある方は、Okjong Yun,RN,PhD.さんにメール
でコンタクトしてみてください。日本語okとのことです。

【期間】:2011年 6月 23日?25日
【場所】:梨花女子大学(組織委員長 辛瓊林 教授)

本学術大会は、25ヶ国以上が参加する行事として多学制的で学問的融合を
強調して交流しようとおもいます。また看護学、心理学、社会福祉学、哲学、
教育学、医学、人類学、相談学、体育学など質的研究が成り立つことができ
るすべての分野の研究者が自分の研究論文を発表して、関連学者たちと討論
することができる場になるだけでなく世界的に有名な質的研究者を仕えて主
題講演とワークショップであえる良い機会にもなるとおもいます。学術大会
の登録及び abstract 提出 締切は3月31日です。多くの関心と参加をお願い
致します。詳しい情報は下のホームページを参照してください。

第1次 世界健康質的研究 組織委準備事務局
〒120-750 ソウル市西大門区大硯洞 11-1 梨花女子大学ヘレン館 305号

【公式 HP】 http://www.gcqhr.com
日本語 E-mail : yunokjong@yahoo.co.jp

(情報提供者 YUN OKJONG 様 推薦者 サトウタツヤ 様)

◆東京フィールド研究検討会(とうふ研)

今回は、東京ではなく、茨城県・水戸市にて研究検討会を行います。水戸が
東日本震災にて被った被害は、沿岸部の被災地と比べると軽微とはいえ、街は
厳しい状況に陥っています。今回の研究検討会は、公に研究を検討する機会と
いうだけでなく、直接人とお金が動くことも期待して水戸にて行います。
今回研究検討を行うテーマは、いずれも中学生と幼児とのふれ合いです。こ
の地でのふれ合いを通して、新たな何かが生まれることを期待しています。
東京から水戸まで特急電車で1時間ちょっと、高速バスで2時間でアクセスで
きます。ぜひご参加ください。
参加希望の方は、研究会後の懇親会の参加希望と併せて、下記の申込先まで
メールにてご連絡ください。

【日時】2011年7月23日(土)12時?17時
【場所】茨城大学 水戸キャンパス 人文学部A棟 コラボレーションルーム
http://www.ibaraki.ac.jp/generalinfo/campus/mito/index.html
【申込先】松本光太郎[m-kotaroアットmx.ibaraki.ac.jp] (アットを@に)

【研究検討1】
「中学生と幼児のふれ合い体験における幼児にとっての意義について」
天野美和子(白梅学園大学)

【研究検討2】
「中学生と幼児との交流活動の授業づくりとナラティブ・アプローチによる中
学生の学習経験の変容」
小高さほみ(秋田大学)

【世話人】荒川歩(武蔵野美術大学)・徳田治子(高千穂大学)・松本光太郎
(茨城大学)

(情報提供者 荒川歩 様)

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■著書の紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

特にありません

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……………………………………………………………………………………………
[クッピーより]

メルマガの情報がお役に立っていれば幸いです。ところで今号で80号になります。
80回出してきたのですから大したものです。80という数字で何を思い浮かべるでしょ
うか。サッカー選手ロナウジーニョのミラン時代の背番号でしょうか。A評価を与え
る点数でしょうか。ウルトラマン80というのもいましたね。次は90号を目指します!

……………………………………………………………………………………………
編集:日本質的心理学会研究交流委員会
第80号担当:坂本將暢・徳田治子・松本光太郎
発行:日本質的心理学会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaqp/
発行日:2011年6月20日
●メールマガジンは、学会からの配信専用ですので返信できません。
●学会に関するご意見・ご要望は以下のWebページからお願いします。
【学会事務局アドレス jaqp@shiraume.ac.jp 】
●メールマガジンに掲載する研究会等の情報やアイデアを募集しております。
情報提供・投稿は、各号15日までにお願いします。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaqp/toiawase.html
(メールソフトによっては、改行されていることがあります)
●アドレスの変更、配信の停止を希望される場合は、お手数ですが学会事務局
までご連絡ください。
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