日┃本┃質┃的┃心┃理┃学┃会┃メ┃ル┃マ┃ガ┃2┃0┃0┃8┃
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編集:日本質的心理学会研究交流委員会

日本質的心理学会 メールマガジン No.45======================2008/7/18

クッピーです。「いよいよ夏本番!」といった気候になってきましたね。
この時期、あまり暑くて冷房をかけたまま寝てしまい、(ビールの飲みす
ぎもあって)風邪をひいたり、夏バテしたりといったことになりがちです。
体調にはくれぐれも気をつけて、暑さを乗り切っていきましょう。

▽▼ 目次 ▽▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◎ 学会より会員のみなさまへ:

◆事務局より

◆編集委員会からのお知らせ

■□■□「質的研究」情報コーナー

■ 研究会情報
○構造構成主義アカデメイア『質的研究集中ワークショップ』(早稲田大
学)

○『文化心理学の可能性 時間と空間と共にある個別の生を捉えるために』
(立命館大学)

○てんむすフィールド研究会『鯨岡理論の現在』(名古屋大学)

■ 著書の紹介
○『質的研究方法ゼミナール 増補版 ――グラウンデッド セオリー
アプローチを学ぶ』 戈木クレイグヒル滋子(編)

○『海外フィールドワークによる日系国際児の文化的アイデンティティ形
成』 鈴木一代(著)

○『高齢化社会と日本人の生き方――岐路に立つ現代中年のライフストー
リー』 小倉康嗣(著)

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◎ 学会より会員のみなさまへ
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◆事務局より
7月15日現在の会員数などは
●会員数 764名
●2008年度会費納入率 52%
となっております。
昨年の学会で700人目をお迎えしたわけですから、それ以降ですでに60名以
上の方にご入会いただいていることになります。今年の学会で800人目のお祝
いをしたいものです。

◆編集委員会より
いよいよ夏本番。私事になりますが、ちょうど10年前の1998年、文部省(当
時)の在外研究員として、私はベトナムの首都ハノイにいました。ある路地に
面した家を借りて、そこで私にとっては初めての、本格的なフィールドワーク
を始めた頃でした。ハノイの夏は日本のそれよりさらに厳しく、昼間は何もす
る気が起きないうだるような暑さ。2歳の娘を近所の保育所に送りとどけ、自
らは近くのベトナム語教室に出向くという毎日でした。
そんな代わり映えのしない毎日のなかで、当時ベトナムでもすでに使えるよ
うになっていたインターネットにノートパソコンをダイヤルアップで繋ぎ、そ
の日の出来事を自分のHPに書き記していきました。いわばフィールドワークの
“実況中継”であり、記録を残す意味あいもありました。当時のハノイではと
きおり停電があり、電気が止まると当然エアコンが止まり、パソコンのバッテ
リーも保ちが悪くて間もなく使えなり、汗が身体中から吹き出してくる……あ
のときの感覚を、今でもありありと思い出します。
そんな状況のなか、私は書くということを続けました。フィールドワーカー
にとって肝心なのは、フィールドのなかで少々ぎこちなく振る舞いながら、同
時に書くという営みを続けることでしょう。書くことは、自分の表現である以
前に、考えるための方策であり、自分自身との対話でもあります。そして、書
き続けることによって新たな言葉が紡ぎだされ、不思議と言葉が豊かになって
いくのを感じます。
私のハノイの路地のフィールドワークは、後に一冊の本になりました。その
ベトナム語版には、実に様々な立場の人から反響がいくつも寄せられました。
書くことを続けていて、一番嬉しいとき。それは、私にしかできない仕事だっ
たと、ちょっと生意気ですが思います。
学会員のみなさんには、ぜひご自身の言葉を真摯に紡ぎだして書かれた論文
を、『質的心理学研究』に一度はご投稿いただきたいと願っています。汗を流
しながら苦心して書かれた論文は、ご自身にしかできない作品で、それがきっ
と誰かの心に響いていくものになるでしょう。『質的心理学研究』は、それを
可能にする貴重な媒体なのです。
(副編集委員長・伊藤哲司)

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■□■□「質的研究」情報コーナー<情報提供は、15日までにお願いします>
□■□

【注意!】情報提供は、こちらから連絡がとれるアドレスをご記入ください。
記事に関して、ご確認させていただく場合があります。
また、掲載情報は、簡潔に編集させていただくことがあります。
研究会などの情報は、直前の変更が、学会ホームページに掲載
されていることがありますので、出席される方は、開催直前に
HPで確認されることをお薦めします。
【情報!】メールマガジンの情報コーナーは、月刊のため情報が遅れることが
あります。そこで、できる限りホームページでも情報を提供します
ので、ホームページの定期チェックをお願いします。
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■ 研究会情報    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

○構造構成主義アカデメイア『質的研究集中ワークショップ』
『ライブ講義・質的研究とは何か』(新曜社)公刊以後、各方面からSCQR
M(構造構成的質的研究法)を学びたいというご要望が多数寄せられました。構
造構成主義アカデメイアでは、そうしたニーズに応えるために4日間(計30時
間)の演習形式の集中ワークショップを開催いたします。
SCQRMとは、多種多様な「質的研究」に通底する原理となる考え方や技法
を呈示するものであり、それを身につければ既存の技法をより創造的に使いこな
すことが可能となります。学生、教員、一般の方を問わずどなたでも参加できま
すので、質的研究に関心がある方、質的研究のエッセンスやコツを学びたいとい
う方は奮ってご参加ください。
◆講師 西條剛央
◆内容 各班にわかれ、それぞれ一つの研究を立ち上げ、データ収集(インタビ
ュー)、データ分析、理論構築(仮説生成)から発表に至るまで一気に実践して
みることで、SCQRMやそれに基づく「構造構成的M-GTA」の活用法を学び、
質的研究のエッセンスとコツを身につける。
◆第一回
場所:早稲田大学
日時:2008年、8月23(土)・24(日)/30(土)・31(日)の各
日11時~19時40分
◆第二回
場所:関西大学
日時:2008年、9月14(日)・15(祝日)は9時~18時50分/9月
20(土)・21日(日)は9時~16時30分
◆参加費 2万円
◆定員 30名
※ 参加希望者は下記より仮登録をしてください。先着順とさせていただくため
仮登録をいただきましても定員になり次第締め切らせていただくことがあります
ので予めご了承ください。本登録が完了し次第、詳細な情報を送らせていただき
ます。
http://server.net8.jp/auto-mail/12147/form.cgi
(# 全日参加が原則となりますが、一部参加できない時間帯がある方は上記の
URLのフォームメールの「通信欄」にその旨をご明記の上ご登録いただければ参
加可能です。)
(情報提供者:西條剛央様)

○『文化心理学の可能性 時間と空間と共にある個別の生を捉えるために』
ヴァルシナー教授を迎えての企画
みなさまご存じ(?)、日本大好きのJaan Valsiner教授(クラーク大学)が
またもや来日(日本心理学会に出席のため)。その後、京都でシンポジウムとデ
ータセッションを行うことにしました。
9/23のシンポに関してはほぼ確定してます。院生クラスの人たちの研究成果を
発表する会を9/24か9/25に開きます。ヤーンと交流したい人、研究発表したい方
はサトウタツヤsatotster@gmail.comまでご連絡ください。
以下は9/23の企画概要です。

◆講演+シンポジウム(基本的に日本語で行います)
『文化心理学の可能性 時間と空間と共にある個別の生を捉えるために』
◆2008年9月23日
◆立命館大学衣笠キャンパス 創思館カンファレンスルーム
◆第一部 講演 13:00~ 各人40分で発表
第一部司会 安田裕子(京都大学)
Jaan Valsiner Clark University  (日本語訳と解説あり)
FACING THE FUTURE–MAKING THE PAST: THE PERMANENT UNCERTAINTY OF
LIVING
(T未来に向かい―過去をつくる 永続する不確定性とともに生きる)
高橋登 大阪教育大学 障害児の生きる場と人格形成の理論

休憩 15分

第二部 シンポジウム 15:10~ パネリスト 各人20分で発表
第二部司会 田垣正晋(大阪府立大学)
パネリスト
矢守克也 京都大学防災研究所巨大災害研究センター 阪神・淡路大震災を記
憶した〈場所〉
松本佳久子 奈良市社会福祉協議会 音楽療法推進室 「大切な音楽」を媒介と
した少年受刑者の語りの変容と意味生成の過程
山本登志哉 早稲田大学 共同主観的制約としての<事実>が立ち上がるとき:
目撃証言の共同想起と超越的媒介項
サトウタツヤ 立命館大学 ライフ・エスノグラフィの可能性-文化心理学か
ら厚生心理学へ

コメンテータ
Jaan Valsiner
やまだようこ 京都大学
(調整中)
南博文 九州大学

終了予定 18:10

引き続き懇親会

参考文献
サトウ・南 編 社会と場所の経験 質的心理学講座3 東京大学出版会
サトウタツヤ 編 TEMではじめる質的研究 誠信書房
(情報提供者:サトウタツヤ様)

○てんむすフィールド研究会『鯨岡理論の現在』(名古屋大学)
◆2008年9月7日(日曜) 12:00~18:00
◆名古屋大学 ベンチャービジネスラボラトリー・ベンチャーホール
http://www.nagoya-u.ac.jp/camp/map_higashiyama/
◆企画趣旨
これまで学術の場において「鯨岡理論」(「関係発達論」、および実践方法であ
る「関与しながらの観察」および「エピソード記述法」)が表立って議論された
ことはほとんどありませんでした。理論と方法を貫くパースペクティブが一貫し
ている鯨岡理論そのものから、また理論の構想および方法の整備に長い時間を費
やしてこられた軌跡からも学ぶべきことは多いように思います。著書『ひとがひ
とをわかるということ』(ミネルヴァ書房)が公刊され、鯨岡理論の全貌がおお
よそ明らかになってきた今、議論するいい頃合になってきたのではないでしょう
か。本研究会は、鯨岡先生をはじめ、数名の先生方を招き、「鯨岡理論の現在」
について語り合ってみたいと思います。
◆登壇者
鯨岡 峻(中京大学)
森岡正芳(神戸大学)
大倉得史(九州国際大学)
お1人交渉中
◆スケジュール
12時~13時 鯨岡先生講演 「鯨岡理論の軌跡」
13時~13時半 講演に関する質疑応答
13時45分~15時45分 3名の話題提供および質疑応答
16時00分~18時00分 参加者からの質疑および鯨岡先生を中心に応答
◆申し込み先(事前申込をお願いいたします)
松本光太郎(名古屋大学/てんむすフィールド研究会)
k-matsumoto @esi.nagoya-u.ac.jp (@の前に半角スペースを入れています)
◆参加費
1000円
◆当研究会紹介
当研究会は、学会シンポジウムにおいて時間の制限等により扱えなかったテーマ
について議論することを念頭に催されています。これまで「フィールドワーク」
「質的研究と科学」「歴史と因果性」「偶然性」といったテーマについて議論し
てきました。一部を以下のURLで公開しています。
http://www.k2.dion.ne.jp/~kokoro/tenmus/
(注)最新の情報は、上記のURLで更新いたします。
(情報提供者:松本光太郎様)

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■著書の紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
○『質的研究方法ゼミナール 増補版 ――グラウンデッド セオリー
アプローチを学ぶ』
戈木クレイグヒル滋子編 医学書院 定価2730円 発行年月:2008年6月
本書は戈木Cゼミのみんなでつくったものですが,前書「質的研究方法ゼミナ
ール」を出版してから,約3年が経過しました.その間,看護・医療分野だけで
なく他領域の方々や,毎年ゼミに集まってくるやる気にあふれた学生たちから,
多くの貴重なご意見,ご質問をいただきました.その中で,「プロパティ,ディ
メンションを抽出してラベル名をつけるところまではできるのだが,カテゴリー
の関係を考えるときに,プロパティ,ディメンションをどのように活用すればよ
いのかが分からない」といった質問を何度も聞きましたので,私が担当した,
「SESSION 8 カテゴリーの関係をとらえる」をはじめとして,増補版では,カテ
ゴリーの関係を考える際のプロパティ,ディメンションの活用方法について,よ
り詳細にわかりやすく記述したつもりです.ぜひ,ご一読頂き,ご意見,ご感想
を頂ければ幸いです.
(情報提供者:三戸由恵様)

○『海外フィールドワークによる日系国際児の文化的アイデンティティ形成』
鈴木一代(著) ブレーン出版(2008年4月)
インドネシアのバリ島における、「日系国際児」(両親のどちらかが日本人の
子ども)についての10年余りにわたるフィールドワークの成果である。
本書の目的は、日系国際児の文化的アイデンティティ形成に影響を及ぼす要因
を明らかにすることであるが、同時に、文化的アイデンティティ形成のような複
雑な心理現象を研究する際に有用と考えられる研究方法について提示することで
ある。
第I部は、理論編であり、本書のキーワードである、「国際児」「国際家族」
「文化的アイデンティティ(形成)」、および、研究方法、すなわち、「文化人
類学的―臨床心理学的アプローチ [CACPA]」に焦点をあてている。
第2部は、実践編であり、第I部で取り上げた「文化人類学的―臨床心理学的
アプローチ」による、海外でのフィールドワークの実際例(データの収集、整理
、分析など)を提示している。その研究(実例)は、同時に、文化的・社会的・
歴史的文脈のなかで、乳幼児期から思春期を中心に、日系国際児の文化的アイデ
ンティティ形成に影響を及ぼす要因や言語・文化継承のメカニズムについて明ら
かにしている。
さらに、日系国際児の文化間移動の問題、受け入れ側である日本社会の問題、
および支援(教育)についても言及している。
(情報提供者:鈴木一代様)

○『高齢化社会と日本人の生き方――岐路に立つ現代中年のライフストーリー』
小倉康嗣(著)慶應義塾大学出版会 616頁 5880円 2006年12月25日発行
刊行から1年半たった本書ですが、おかげさまでこのたび増刷の運びとなり、
初めてご紹介させていただきます。
本書は博士論文を書籍化したもので、足かけ7年にわたる縦断的ライフストー
リー調査をまとめたものです。老いの季節を迎えんとする団塊世代前後の現代中
年と、30代でゲイでもある研究者が、それぞれに社会と対峙した経験をたずさえ
、出会って生成される新たな人間存在の地平――それを、両者のライフストーリ
ーのらせんのなかから描き出していく作業が核になっています。
質的心理学の文脈で特筆すべき本書の特徴としては、「調査研究者の経験のな
かでの生成」「調査協力者の経験のなかでの生成」「調査研究者と調査協力者の
相互作用経験のなかでの生成」という三重の生成のらせんを記述しながら、「読
者の経験との相互作用のなかでの生成」という四重めの生成のらせんを企図する
構成をおこなっていることです。これは、知見が生成されてきた〈多層多元な関
係的コンテクスト〉を読者に生々しく呈示していくことによって読者の経験の参
与可能性を切り拓き、〈ライフストーリーの知〉を〈実践的=参与的に交流する
知〉として構成していく試みです。
以下に本書の詳細な紹介がございます(一部立ち読みもできます)ので、お立
ち寄りいただけましたら幸甚です。
http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/4766413202/
(情報提供者:小倉 康嗣様)

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[クッピーより]
第45号はいかがでしたか?これからも「読まれるメルマガ」を目指し、いろい
ろな工夫を重ねていきたいと思います。ぜひアイディアをお寄せください。担当
一同お待ち申し上げております。

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編集:日本質的心理学会研究交流委員会
第45号担当:大倉得史・野坂祐子・荒川歩
発行:日本質的心理学会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaqp/
発行日:2008年7月18日
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【学会事務局アドレス jaqp@shiraume.ac.jp 】
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