日┃本┃質┃的┃心┃理┃学┃会┃メ┃ル┃マ┃ガ┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
役立つ情報を共有しましょうよ
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

日本質的心理学会 メールマガジン No.243号(2024)

▽▼ 目次 ▽▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◎学会より会員のみなさまへ
◆『質的心理学研究』編集委員会より
◆『質的心理学フォーラム』編集委員会より
◆研究交流委員会より
◆会務委員会より
■研究会情報
◆しんりがく研究会『心理学における構成概念を見つめ直す
──科学哲学からの提案』のお知らせ
◆国際文化会館の有期契約職員(韓国アサン政策研究院出向)
LEAPフェロー第1期生募集
◆『ソシオロジスト』創刊号論文公募のお知らせ
◆PAC分析学会研修会 2025年2月16日10:00~12:00 (Zoomにて開催)
◆社会言語科学会講習会2025春: 特徴ある言語データの分析手法を体験する

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

………………………………………………………………………………………………
◎学会より会員のみなさまへ
………………………………………………………………………………………………

*********************************

◆『質的心理学研究』編集委員会より

2025年1月17日、阪神・淡路大震災から30年が経つ。「もう」30年、しかし、
被災者にとっては「まだ」30年という複雑な気持ちだ。看護大学2年生の時に明
石の下宿先で被災した。発災の10分前にコタツから抜け出して寝室へ移動し、
うとうとし始めたその時だった。頭の上の方から「ゴー」という音が近づいてき
たかと思った瞬間、「ドーン」という大きな振動とともに身体が宙に浮いて布団に
叩きつけられた。元の位置にあったものは何一つなく、さっきまで寝ていたコタ
ツの上にはタンスが倒れていた。この瞬間に「生かされた」と感じた。

動ける看護教員たちは車に乗り合わせ、すぐに被災地へ看護師として応援に行っ
た。その時、資格がない「何者でもない」自分をとても悔しく感じた。「役に立
てる何かをしたい」と思い立ち、当時、「精神看護学概論」の講義を受けていた
神戸大学の中井久夫先生のところを尋ねた。「じゃあ、明日から来てください。
何ができるかわからないが、とにかくここにいる事が大切なので」と言ってもら
い、うれしかった。結局、次の日から大学の授業が再開され、ボランティアは叶
わなかったが、のちに中井(2018)は、震災における救援者の意味について「存
在してくれること、そばにいてくれることが最大の価値である」と述べている。

今でも、ボランティアとして駆け付けなかったこと、自分が生き残ったこと、に
「申し訳なさ」を抱え続けている。こうした感覚は「サバイバーズ・ギルト」と
いう言葉では説明しきれないと感じている。精神科医の安(2001)は、災害後い
ったん落ち着いたように見えても、心の傷が解消したと言い切れず、ある種の「
生きづらさ」が持続しており、治療の対象となることは少ない、また、被災者に
関わる人の基本的な姿勢とは、まず「苦しいがそこにある」に気づくことで、臨
床の場とは「そばに佇み、耳を傾ける人がいて、はじめてその問いは語りうるも
のとして開かれてくる」、と述べている。この「生きづらさ」「そばにいる」こ
との意味を考え続け、今も私の研究テーマとなっている。

今回、第27号特集で「『アート』を活用した質的研究」を担当することになった。
アートに基づく実践と質的研究が対話することで、学会にとっても新しい取組み
となると考えている。現在募集中の特集に付いて、多くの投稿を期待している。

(『質的心理学研究』編集委員 鮫島輝美)

*********************************

◆『質的心理学フォーラム』編集委員会より

『質的心理学フォーラム』第16号意見論文募集のお知らせ

昨年秋に刊行されました『質的心理学フォーラム』第16号はすでに読んでい
ただけましたでしょうか。
本誌では、只今、特集テーマ「研究者の偶然性と当事者性」の意見論文を募集し
ております。
投稿〆切は2025年3月14日(金)です。
本号で論じている4名の著者の論考や基幹論文と、対話をするような感覚で、ぜ
ひご投稿をお待ちしております。
昨年の第21回大会で行われた同テーマのシンポジウムでは、超満員の中、充実
したディスカッションが繰り広げられました。質的研究の方法の確かさはどこに
あるのか、その在処をめぐって、私たちは「研究者の経験」を軸に述べさせてい
ただきました。それは、私たち自身が目の前の現象や語っていただいた言葉をど
のように見たり聞いたりして解釈したのか、つまり、私たち自身の経験をどのよ
うに記述するのか、という視点をもとにしています。量的研究では書くことので
きない、私がどう見たのか、というダイレクトな記述を、質的研究ではむしろ、
いかにして「この研究の方法」として記載できるのか、ここを質的研究者として
問われているのではないかと考えています。あらかじめ決められたアカデミック
なルールに従う厳格さは、研究者にとって重要ですが、一方で、研究者である私
自身がまぎれもなく見たり聞いたり理解したりした、その経験のままに現象を記
述する、そういう厳格さの方に私は魅了されます。「質」であろうが「量」であろ
うが、そういった意味での誠実な研究や論考に出会うと、私はとても救われたよ
うな気持ちになります。
このような企画者・著者らに対して、ぜひ皆さんの声を「意見論文」という形で
聴かせてください。投稿要領は質的心理学フォーラム第16号のp.120に掲載
しております。皆様のご投稿をお待ちしております!

(『質的心理学フォーラム』編集委員会委員長 北尾良太)

*********************************

◆研究交流委員会より

【タイトル】
人類学の「参与観察」を体感する

【企画趣旨】
質的研究に取り組んだことがある人は、一度は研究対象者との距離感、その中で
の自身の立ち位置に悩んだことがあるのではないか。フィールドとの長期的、継
続的な関係を営む中で研究を実践する人類学者は、この問いをどのように包摂し
研究を行っているのだろうか。
多くの人類学者は、研究対象となる場や人々に対して全く影響を与えない部外者
にはならず、かといって対象に積極的に介入をするとも限らず、研究者自身がそ
のフィールドに入り込む。その場の一員として生活そのものを共にしながら、参
与観察を行う人類学者の研究の流儀に触れ、体感することを通じて、参加者各自
が実践している質的研究のあり方を考える場としたい。

【実施概要】
〇レクチャー(30分)
人類学者が行う質的研究のあり方を理解する
-人類学者が実践する参与観察
〇グループワーク(1時間)
人類学者の参与観察を体感する。
参加者には事前ワークをしていただく予定です。
-【事前ワーク】当日までに1,000円以内の贈り物を購入する。
- 当日パートナーになった方と贈り物を交換する。
- 贈り物の交換体験(購入から交換まで)についてフィールドノーツを作成する。
〇ディスカッション(1時間)
人類学者のアプローチを、自身の研究にどのように生かしうるのかを議論する。

【時間】
2025年2月22月(土) 13時~15時30分(開場12時30分)
【開催方法】
対面(先着30名)/立命館大学東京オフィス(教室5)
https://www.ritsumei.ac.jp/tokyocampus/access/

【お申込み】
下記のフォームよりお申し込みください。受付開始は1月20日(火)です。
https://forms.gle/9oRPfwoKs7eB69216

【担当】
宮下太陽(株式会社日本総合研究所)・古賀佳樹(独立行政法人国立病院機構)
香曽我部琢(宮城教育大学)

【講師プロフィール】
比嘉 夏子(ひが なつこ)
合同会社メッシュワーク共同創業者。山梨県立大学特任准教授。
京都大学人間・環境学研究科博士課程修了(人間・環境学博士)。専門は人類学。
ポリネシア島嶼社会の経済実践や日常的相互行為について継続的なフィールドワ
ークを行う一方で、より実践的な人類学のありかたを模索し、メッシュワークを
設立。人類学的なアプローチと認識のプロセスを多様な現場に取り込むことで、
きめ細かな他者理解の方法を模索し、多くの人々に拓かれた社会の実現を目指す。
著書に『贈与とふるまいの人類学―トンガ王国の〈経済〉実践』(単著、京都大
学学術出版会)『地道に取り組むイノベーション―人類学者と制度経済学者がみ
た現場』(共編著、ナカニシヤ出版)等。

(研究交流委員会委員長 荘島幸子)

*********************************

◆会務委員会より

2025/1/15現在の会員数及び会費納入率をお知らせ申し上げます。
会員数:1,343名

2024度会費納入率:60.5%(未納者  530名)
2023度会費納入率:91.7%(未納者 112名)

☆いつも学会活動にたくさんのご支援をいただきまして、まことにありがとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
年末年始に、多くの方に2024年度会費を納入いただきました。ご理解いただき、大変
有難く存じます。おいそがしいこととは存じますが、会費納入につきまして、引き続き
ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

2024年4月より、JPASS(ジェイパス)事務局に事務局を移転するとともに、
会員マイページをリニューアルし、新たにJPASSマイページがオープンいた
しました。会員のみなさまにはぜひご活用いただきたくお願い申し上げます。
9月30日付で、「JPASSマイページ利用のご案内(日本質的心理学会)」という
タイトルにて、JPASSマイページにアクセスする方法について、あらためて
配信いたしました。初回ログインをまだされていない方は、そちらの記載内容を
ご確認のうえ、JPASSマイページにログインいただきますようお願いいたします。
また、2024年度より、年会費はJPASSマイページからお支払いいただくよう
お願いしております。未納の方は、あわせてご対応いただきますよう、よろしく
お願い申し上げます。

※JPASSは、公益社団法人日本心理学会が運用してきた会員管理システムを
他学会でも共同利用できるようにしたものです。「JPASSマイページ」では、
オンラインでの年会費の支払い、会員情報の自己管理、支払い等に関する
データの確認をしていただくことができます。

(会務委員会委員長 安田裕子)

*********************************

……………………………………………………………………………………………
■□■□ 会員からの情報コーナー
・以下の情報は会員の皆さまから寄せられたものをそのまま掲載しています。
・必ずしも日本質的心理学会と関連するものではありません。
・情報提供については以下のサイトをご覧ください。毎月15日〆切です。
https://jaqp.jp/mail-magazine-offer
……………………………………………………………………………………………

*********************************

◆しんりがく研究会『心理学における構成概念を見つめ直す──科学哲学からの
提案』のお知らせ

心理学では構成概念を扱うことが多いにもかかわらず、構成概念について理解し
ているかというと、そうともいえない状況です。言い換えると、心理学は、構成
概念のヘビーユーザーではありますが、「構成概念とは何か」についてはあまり
把握していないように思えます。
そのような中、科学哲学の観点から「構成概念とはこういうものではないか?」
という提案が、2024年12月に発表されました。
その提案を学び深めるために、本研究会では、同提案の発表者である黒木さん、
岡本さんをお呼びして、その発表を詳しくおうかがいします。構成概念とは何か、
どうすればよりよい使い方ができるのか、みんなで考える時間を作りたいと思い
ます。

■申し込み及びイベント詳細 https://ap250126.peatix.com/
■発表者
・黒木薫(くろぎ・かおる/三田国際学園 理科教諭)
・岡本茉麻(おかもと・まあさ/三田国際学園高等学校 在籍)
※ 司会は仲嶺真(なかみね・しん/荒川出版会)が務めます
■日時:2025年1月26日(日)14時〜
■会場:オンライン(Zoomを利用)
■参加費:660円(内、500円は発表者に還元されます)
※ 関連書籍付チケットもあります。
■問い合わせ先:荒川出版会 arakawa.press@gmail.com

(情報提供者 仲嶺真様)

*********************************

◆国際文化会館の有期契約職員(韓国アサン政策研究院出向)
LEAPフェロー 第1期生 募集
https://apinitiative.org/leap-fellow/

(情報提供者 市川章子様)

*********************************

◆『ソシオロジスト』創刊号論文公募のお知らせ

新曜社から2026年春に創刊される予定の『ソシオロジスト』第1号では,現在、
下記のとおり、投稿論文を募集しています.奮ってご応募ください.

【指定テーマ】
「方法論のフロンティア」。但し、「自由論題」枠の論文も同時に募集しています。

【公募エントリー方法:エントリーシートを送ってください】
「指定テーマ」での応募か「自由論題」枠での応募かの区別、論文題目案(論題
にはテーマ名称が含まれている必要はありません)、論文の概要、独創的な点等
を2,000~2,500字で文章にまとめ、氏名、所属、連絡先メールアドレスを記した
エントリーシート(書式自由、PDF)を、タイトルに必ず【公募エントリー・氏名】
と記した上で、以下の編集部のメールアドレスへ送信して下さい(詳細情報は公
式サイトhttps://keijiban.jfs-sociologist.com/ をご参照下さい)。

【公募エントリー〆切】 2025年3月13日(木曜)

■一次審査通過者の論文本体の〆切は、2025年6月12日(木曜)です。
■提出された論文は、編集部で査読し、全員掲載に向けて助言を続けます。
■論文の分量は(注、文献表、図表も含み)20,000字です。

【エントリーシート送付先】
『ソシオロジスト』編集部(社会学研究所 SSRI内)
メールアドレス nekotarokurita@gmail.com(栗田宣義)

【編集部員】栗田宣義(甲南大学)、樫田美雄(摂南大学)、
関礼子(立教大学)
※編集事務 伊藤健太(新曜社)

(情報提供者:摂南大学・現代社会学部 樫田美雄様)

*********************************

◆PAC分析学会研修会 2025年2月16日10:00~12:00 (Zoomにて開催)

タイトル:PAC分析最新研究の動向―過去の経験データ分析重点から現在・未
来の仮説・理論構築と検証へのシフト―

講師:内藤 哲雄 (Naito, Tetsuo)
信州大学名誉教授 PAC分析学会理事長 PAC分析研究所所長
明治学院大学国際平和研究所 研究員

Zoom
https://us02web.zoom.us/j/87355348277?wd=MU9lUTM4N0JOMFFYTUN6cXFtMUJWZz09
ミーティング ID: 873 5534 8277 パスコード: 804913

内容
PAC(Personal Attitude Construct)分析は、個人ごとにイメージや態度構造
を分析する方法である。問題に直面している当事者が、潜在あるいは無意識につ
かんでいる枠組みに沿って関連変数を想起させ、調査者がその構造を統計的に析
出し、その意味を当事者とともに探索する方法である。調査者(研究者)のスキ
ーマに沿ってではなく、当事者本人がイメージする現象世界に直接迫るところに、
本技法の独自性がある。今回の研修会では創始者の内藤理事長自らPAC分析の
過去・現在・未来について語っていただく。

Zoomでの研修会です。誰でも参加できます。事前申込不要です。当日直接ご参
加ください。

連絡先:いとうたけひこ(PAC分析学会事務局長)take(アット)wako.ac.jp

*********************************

◆社会言語科学会講習会2025春: 特徴ある言語データの分析手法を体験する

■日時:2025年3月21日(金)午後~23日(日)午前
■場所:早稲田大学本庄セミナーハウス(埼玉県本庄市栗崎214)
■趣旨とコース:
SNSなどのソーシャルメディアのデータとインタビューデータという、素材や構
造に特徴のある言語データを対象として、これらの分析手法を初歩から学習でき
る2つのコースを用意しました,

・コース1:ソーシャルメディア分析
講師:白土由佳先生(文教大学) https://researchmap.jp/yuca

・コース2:TEAを用いたインタビューデータの分析
講師:安田裕子先生(立命館大学)
https://www,ritsumei.ac.jp/psy/teacher/yasuda/

・定員:各コース15名(先着順)
■参加費(宿泊費、朝食・夕食代、懇親会費も含む,昼食代は含まない)
一般会員30、000円 一般非会員35、000円
学生会員15、000円 学生非会員20、000円
■参加申込期間:2025年1月17日(金)~2月20日(木)

★詳細は下記学会HPをご参照ください,
https://www.jass.ne.jp/course/course-next/

*********************************

[クッピーより]

みなさまはどんな年末年始を過ごされたでしょうか。今回はいつもより少し長い
休暇が取れたという声も聞こえてきます。私は実家でインフルが流行ってしまっ
たので帰省せず、せっかくなら東京のお正月を楽しんでみようと、元日から浅草
寺を目指して出立しました。浅草まで行きましたがあまりの人手に近づけず断念。
結局、近所で初詣をしました。自分が何を願ったのかは覚えておりませんが、隣
で一緒にお参りをしていた家族が熱心に願い事をしていた姿が目に焼き付いてい
ます。

1/3は、日本橋で箱根駅伝(往路)の観戦に成功。最終ランナーの1・2位の走
りを見届けました。それは一瞬のことで、確実にテレビよりも小さな彼らしか目
にすることはできませんでしたが、その場の熱気は十分伝わってきました。

2025年、今年は巳年です。
みなさまは今年1年どんな年にしたいですか?
私は、蛇が皮を脱ぎ捨てて生まれ変わるように、私も昨年までの自分から脱皮し
てみようかなとひっそり企てております。

風邪などが流行っているようです。みなさま、どうぞご自愛ください!

………………………………………………………………………………………………
【事務局より】
宮下 太陽様の今年度の会費未納金額は0円です。
昨年度以前の会費未納金額は、0円です。
未納会費のある場合は、JPASS( https://jpass.online/ )にログインし、
お支払いいただきますようお願いいたします。
………………………………………………………………………………………………
編集:日本質的心理学会研究交流委員会
担当:岡部大祐・古賀佳樹・杉浦彰子・荘島幸子・家島明彦・沖潮満里子
発行:日本質的心理学会 https://www.jaqp.jp/
発行日:2025年1月20日
●メールマガジンは、学会からの配信専用ですので返信できません。
●メールマガジンの配信停止・アドレスの変更等は、JPASSのマイページから設定できます。
JPASSマイページ https://jpass.online/
●学会に関するご意見・ご要望は、お手数ですが学会事務局までご連絡ください。
学会事務局アドレス jaqp@jpass.online
●質的研究に関する研究会や公募等の情報提供および共催のご依頼は、下記の
フォームからお知らせください。いただいた情報は、メールマガジン等に掲載し、
共催については委員会内で検討のうえ、お返事差し上げます。
https://jaqp.jp/mail-magazine-offer
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━