日┃本┃質┃的┃心┃理┃学┃会┃メ┃ル┃マ┃ガ┃2┃0┃0┃6┃
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編集:日本質的心理学会研究交流委員会

日本質的心理学会 メールマガジン No.18====================2006/1/20

クッピーです。さて、今回は、助成対象研究会の企画特集です。
いずれも、楽しみな企画であり、期待できそうです。
大切な会費よりの助成金なので、会員の皆さまに還元できるような
形式にしていきたいと思っています。なにとぞ、皆さまのご意見を
お寄せください。

▽▼ 目次 ▽▼━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●日本パーソナリティ心理学会経常的研究交流委員会・
日本質的心理学会研究交流委員会主催 公開研修会
個性と障害のはざま:発達障害児の育ちの現場から
●日本質的心理学会助成対象研究会の企画特集
●風に聞く・風を追う:歌舞伎を見るヴィゴツキー
●学会より会員のみなさまへ:<事務連絡・各委員会報告>
●「質的研究」情報コーナー:
投稿の呼びかけ・投稿要領・研究会の紹介・著書の紹介・Webサイトの紹介
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■ 研究交流委員会共催研究会の紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━┓

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日本パーソナリティ心理学会経常的研究交流委員会・日本質的心理学会研究
交流委員会主催 公開研修会

個性と障害のはざま:発達障害児の育ちの現場から

『ひとりひとりの「個性」を大切に』ということや『ありのままを受け入れる』
ということは、保育や教育の現場においてよく述べられ、強調されることである。
しかしその一方で、子どもたちの行動が”気になったり”、なにかしらの”問題”を
感じたとき、それを「個性」としてとらえようとしても(あるいはとらえてほし
いと願っても)、日々の保育や教育が成り立たない現実があるときに、結局は
「問題」や「障害」の方が強調されてしまうこともある。さらに、一旦「障害」
や「問題」という視点で見てしまうと、「治す」「改善する」ということにとら
われ、目の前の子どものありのままの姿が見えなくなってしまうこともあるだろ
う。ひとりの子どもをとらえようとしているにもかかわらず、なぜどちらか一方
が強調されてしまうのだろうか。しかし、「個性」と「障害」の関係は、簡単に
「障害も個性」あるいは「障害ではなく個性」と言い切れるものでもない。
本シンポジウムでは、発達障害児の育ちの現場に焦点をあて、彼らに向き合うと
き、「個性」と「障害」の関係をどのようにとらえていけばよいのかということ
について考えていく。登壇者には、学習障害、自閉症、あるいはムコ多糖症など、
さまざまな障害をもつ子どもやその親、教育者と向き合ってきた先生がたをお招
きした。その深い経験を通して、多くのことを学ぶ機会になればと考えている。

話題提供 上野一彦(東京学芸大学)
久保恭子(共立女子大学短期大学部)
渡部信一(東北大学)
指定討論 佐藤幹夫(フリージャーナリスト)
本郷一夫(東北大学)
山上雅子(京都女子大学)
司会   菅野幸恵(青山学院女子短期大学)

日時 2006年3月4日(土)12時から17時
場所 青山学院女子短期大学 北校舎2F N202教室
渋谷駅東口より徒歩15分(JR線・東急東横線・京王井の頭線・田園都市線)
地下鉄表参道駅B1出口より徒歩5分(銀座線・千代田線・半蔵門線)
http://www.luce.aoyama.ac.jp/access/map.html

参加対象者 発達障害支援に関心のある方
参加費 パーソナリティ心理学会、質的心理学会いずれかの会員 500円
非会員2000円
定員 150名

*本研修会は、臨床発達心理士資格更新研修会、および臨床心理士認定協会の
定める1日ワークショップとして申請予定です。

<申し込み方法>
参加をご希望の方は、次の手順で申し込みを行ってください。

(1)参加費の振込み
参加をご希望の方は参加費を以下の郵便口座にお振り込み下さい。その際、
通信欄に研修会の日付と開催場所を必ず明記するようにしてください。おそ
れいりますが、お近くの郵便局にて各自で払込取扱票をご用意していただき
ますようお願いします。

口座記号番号 10140-70667731
加入者名 日本性格心理学会経常的研究交流委員会

入金後のキャンセルについては、原則として応じません。
振り込まれた方は、念のため受領証(振込みの際の伝票の半券)を当日お持ち
ください。

●参加費
日本パーソナリティ心理学会、日本質的心理学会いずれかの会員 500円
非会員 2000円

●締め切り
2006年2月24日(金)
Webサイトからの申し込みと参加費の払い込みをもって申し込み完了となります。
双方の手続きを期日までに済ませてください。ただし定員になり次第締め切らせて
いただきます。

(2)日本質的心理学会のWEBサイト( http://quality.kinjo-u.ac.jp/ )か
ら、申し込みの手続きをしてください。
参加費は事前振込みとし、入金が確認された時点で申し込み完了となります。

○なおこの申し込みフォームは通常の電子メールと同様にデータを暗号化せずに
送信する形となっております。暗号化されていないメールを送りたくない場合には、
お手数ですが以下の情報を葉書または封書で郵送してください。

・ご氏名
・ご所属
・ご連絡先(住所、電話番号、ファックス番号、メールアドレス)
・会員・非会員の別(会員の方は所属学会もお書きください)
・参加費送金日(確実に入金確認作業を行うため、またその効率化のためにご協力ください)
・(臨床心理士の方のみ)認定番号

郵送先
〒150-8366 渋谷区渋谷4-4-25 青山学院女子短期大学 児童教育学科
菅野研究室気付 日本質的心理学会研究交流委員会

<問合せ先>
青山学院女子短期大学 菅野幸恵
suganoy@luce.aoyama.ac.jp

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<日本質的心理学会助成対象研究会の企画特集>
★中部質的心理学研究会 第一回記念講演会
「初学者のための質的心理学研究―質的研究を洗練させるために-」
●2006年2月21日(火) 13:00~17:00 名古屋
★メタ医療学探検隊・特別研究会
「学際研究における『対話』のデザイン―メタ医療学の創造に向けて―」
●2006年3月18日土曜日13:30~ 大阪
★2005年度sparrow kids特別講演プログラム
「質的研究を始めたい人、行っている人に役に立つ話」
●2006年3月25日 12:30開場 13:00開演 北海道
★ふくおか老年学研究会
「質的老年学(Qualitative Gerontology)を読み実践する
~ふくおか老年学研究会 in 大分」
●2006年2月18日(土曜日) 午後12時30分から午後5時まで 大分
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中部質的心理学研究会 第一回記念講演会
「初学者のための質的心理学研究―質的研究を洗練させるために-」
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1.趣旨
質的研究はその本質上,多様な手法が存在し,常に新しいやり方に開かれ
ている。それゆえ,研究の可能性は多岐に広がり,それこそが“質的研究の
醍醐味”と言えるが,初学者はその多様さに困惑することが多い。そこで中
部質的心理学研究会は,第一回記念講演会として『初学者のための質的心理
学研究-研究を洗練させるために―』をテーマに,質的研究を洗練させるポ
イントや,初学者が陥りやすい問題点や注意点を学ぶ。さらに,参加者が抱
えている研究上の問題点をフロアで共有し,解決策についての討論・意見交
換を行うことを通じて,研究者間の交流を図る。
*心理学領域に限らず、看護、福祉、教育など関連領域の研究者を中心に、
質的研究法に興味ある方々の参加を歓迎します。

2.プログラム
基調講演 「初学者のための質的心理学研究-質的研究を洗練させるために-」
田垣正晋氏(大阪府立大学人間社会学部社会福祉学科 講師) 教育学博士
講師は,障害者を対象にした質的研究を修士課程から続けている。質的研究
によって博士論文を完成させた講師自身の経験を基に,質的研究を洗練させ
るポイントをお話いただく。

3.日時・場所
2006年2月21日(火) 13:00~17:00
中京大学心理学部研究棟5階 院生研修室
所在地〒466-8666名古屋市昭和区八事本町101-2中京大学名古屋キャンパス
http://www.chukyo-u.ac.jp/koho/gaiyo/map/kotu.html
地下鉄 鶴舞線または名城線 八事駅下車 5番出口 徒歩0分
*駐車可能台数が少ない為,公共の交通機関のご利用をお勧めします。

4.参加申込
(1)参加費 \1000(当日支払い) 定員50名
(2)参加ご希望の方は事前にお申し込みください。
申し込み先 situsin@h-h-c.com
氏名、(〒)住所、E-mailアドレス、所属をお書きください。
(3)締め切り 2006年2月10日

5.問い合わせ(メールのみお受けします)
中部質的心理学研究会 事務局 渡部  situsin@h-h-c.com

6.主催 中部質的心理学研究会

7.後援 日本質的心理学会研究交流委員会

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メタ医療学探検隊・特別研究会
「学際研究における『対話』のデザイン―メタ医療学の創造に向けて―」
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◆概要:
「医療」現場での研究・実践を行うためには、医学のみならず、心理学・
社会学・育学・芸術学などの人文諸科学との連携が必要となる。本研究会で
は、面白い研究・実践を生み出すための「学際」のあり方、及び、そのため
の研究者・当事者間の「対話」のあり方について、検討を試みる。本研究会
のアウトプットとしては、「医療」現場に関わる個別具体的な研究・実践の
理論・方法だけではなく、そうした研究・実践を生み出すための、当事者間
/当事者-研究者間/研究者間の「対話」のデザインのあり方も示されるこ
ととなるだろう。本研究会では、慢性疾患のこどもの心理社会的問題を切り
口に心理学の視点から医療を見つめてきた谷川弘治先生を講師に迎え、保健
医療分野における新しい学際的研究のあり方、当事者と研究者の枠を明示し
ない新しい対話のデザイン、すなわち医療を超えた”メタ医療”の構想につ
いて、保健医療および人文科学の専門家・研究者を交えて討論する。

◆日時:2006年3月18日土曜日13:30~

◆場所:大阪市立大学医学部学舎4階講義室

◆主催:メタ医療学探検隊(代表・稲田浩)

◆後援:日本質的心理学会研究交流委員会

◆助成:質的心理学会研究助成

◆応募方法と参加費:メールにて加藤まで、下記必要事項をご記入の上、
お申し込みください(会場予約の都合上)。参加費無料。
参加者氏名:
御所属:
連絡先メールアドレス:meta-medicine@hotmail.co.jp

◆プログラム
1.13:30~
開会の挨拶

2.13:35~14:20
特別講演「医療と教育、そして心理学(仮)」
西南女学院大学保健福祉学部 谷川弘治

休憩

3.14:30~15:30
討論「新しい臨床医療の研究デザイン―メタ医療学の創造に向けて―」
司会:大阪市立大学医学部附属病院医療情報部 朴勤植
西南女学院大学保健福祉学部 谷川弘治
大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学 稲田浩
大阪大学大学院人間科学研究科 加藤謙介
他、メタ医療学探検隊メンバー

4.15:30~
閉会の挨拶

◆谷川弘治先生 プロフィール
現職 西南女学院大学保健福祉学部福祉学科教授 社会学修士、
学校心理士京都大学教育学部卒、日本福祉大学大学院修士課程修了
後、滋賀県立小児保健医療センター心理判定員などを経て現職。
メインテーマは、病気の子どもと家族の心理社会的支援。がんの子
どもの学校、体力、社会的自立などをテーマに共同研究を主宰し、
インターネット等を介しての教育相談活動も試みる。その他、病院
における発達支援、ストレスマネジメントの研究など。

◆「メタ医療学探検隊」連絡先
〒545-8585大阪市阿倍野区旭町1-4-3
大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学内
事務担当:山口悦子、田中祥子

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2005年度sparrow kids特別講演プログラム
「質的研究を始めたい人、行っている人に役に立つ話」
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1. テーマ
質的研究を始めたい人、行っている人に役に立つ話

2. 趣旨
近年、質的研究への関心の高まりと共に多くの書物が出版され、
地方においても、質的研究に関する学習を容易に行えるようになっ
てきた。しかし、書物での独学には限界があり、自分が研究で明ら
かにしたいと考えていることと、選択した研究方法があっているの
かどうかを確認することが出来ず、研究に自信を持てない初学者が
いる。
その一方で、医療・看護・福祉の領域において、質的研究の有用
性を認めて興味を持ち、実際に行いたいと考えても、はじめ方さえ
も分からず、躊躇している例も少なくないことが予測できる。よっ
て、本講演会では質的研究に興味を持ちながらもなかなか踏み出せ
ない者と、質的研究を始めているが、自らの研究に自信が持てない
者を対象とする。
そこで、1部は質的研究を始めたい人の手がかりとなるような内容
とし、2部では、これから行う研究の計画書と、すでに行った研究に
対して講師からコメントをもらうことで、実際にどのように質的研
究を展開していくのかが理解できる内容としたい。

3.とき・ところ
1)日時:2006年3月25日      12:30開場   13:00開演
2)場所:北海道医療大学サテライトキャンパス(毎日札幌会館 6階)
3)講師:田垣 正晋先生(大阪府立大学人間社会学部社会福祉学科講師)

4. プログラム
12:30 受付開始
13:00 基調講演 「質的研究を始めたい人に役に立つ話」
14:30 休憩 コーヒータイム
14:50 ワークショップ1:高齢者の終末期に関する研究計画書
15:50 休憩
16:00 ワークショップ2:看護学生の高齢者疑似体験後の高齢者観に関する研究
17:00 終了

5.参加申し込み方法
1)参加費:日本質的心理学会員:1000円 非会員:2000円(当日会場にて)
2)申し込み方法:メールとFAXで受け付ける。
Mail: suzume2006@yahoo.co.jp

6.問い合わせ
旭川医科大学 医学部看護学科 看護学講座 助手  高岡哲子宛
FAX:0166-68-2941       電 話:0166-68-2941

7.主催:Sparrow Kids
後援:日本質的心理学会研究交流委員会
協賛:看護の詩学研究会

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ふくおか老年学研究会
「質的老年学(Qualitative Gerontology)を読み実践する
~ふくおか老年学研究会 in 大分」
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私たちは福岡を拠点に研究会を開催している「ふくおか老年学研究会」,
略してフクロウ研です。今回私たちは,日本質的心理学会研究交流委員会
より後援を受けて,上記のテーマでワークショップを主催します。
関心のある方はご参加下さい。

日時:平成18年2月18日(土曜日) 午後12時30分から午後5時まで
場所:大分センチュリーホテル TEL : 097(536)2777

今回のワークショップは,「Qualitative Gerontology 2nd Edition:
A Contemporary Perspective」(2002) Graham D. Rowles & Nancy E.
Schoenberg(Eds.)を読み中身に関して議論すること,そして具体的に
高齢者の生活における何かしらの質を捉えようと実践している方の報告
を聴き議論することの2部構成になっています。

第一部:「質的老年学を読む」
報告者 田中亮子さん(九州大学)
第10章 Maximizing Methods: Interviewers as Informants
小野寺涼子さん(早稲田大学)
第11章 Seeking Diagnosis for a Cognitively Impaired
Family Member: Evidence From Focus Groups
第二部:「質的老年学を実践する」
報告者 野崎瑞樹さん(日本文理大学)
「フィールドノーツの扱い方:どうしよう??という記録たち」
小野寺涼子さん(早稲田大学)
「介護施設における認知症患者と介護者の対話の構造:
ナラティブの共同構築過程に注目して」
松本光太郎さん(名古屋大学)
「高齢者の日常体験を記述する試み:コーヒーを飲む行為に
潜む自由」

今後,移動遊園地のような流浪の研究会として福岡を拠点に,京都,名古屋,
東京と各地で研究会を開催する予定です。今回,大分でのワークショップに参加
できない方においても,研究会に関心のある方は案内をお送りしますので下記の
メールアドレスにご連絡下さい。

問い合わせ先:松本光太郎<k-matsumoto@esi.nagoya-u.ac.jp>

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風に聞く・風を追う:歌舞伎を見るヴィゴツキー
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質的研究のキーパーソンに、大いに語ってもらうコーナーです。
それでは、今回の「語り」は、茂呂雄二先生です。

☆☆☆  茂呂 雄二   (筑波大学)  ☆☆☆

歌舞伎はじめての海外公演は旧ソビエトで行われました。1926年の夏、
2世左団次一行が『仮名手本忠臣蔵』『娘道成寺』などの演目を持って
モスクワとレニングラーを訪れ大喝采を浴びたことが、当時の日ロ両国
の新聞記事で確認できます。ロシア語辞書に名優を意味する外来語
саданжиが加わったともいいます。

ちなみに左団次訪ロの背景には小山内薫がいます。病気でなければ歌
舞伎訪ロ団長を務めるはずだった小山内の左団次夫妻と同行できない悔
しさは、昭和3年に平凡社から出版された『市川左団次歌舞伎紀行』と
いうロシア公演の記録本にうかがえます。小山内が左団次とともに演劇
の革新をリードしたことを思うと、この交流は日本での新劇開拓である
と同時に歌舞伎劇作法のロシア芸術への影響という相互的なものであっ
たわけで、ただロシア側からのエキゾチックな舞台に対する好奇心にと
どまらないものだったのです。

さてモスクワで左団次は、スタニスラフスキーなどの演劇関係のほか、
詩人マヤコフスキーにも、そして映画監督エイゼンシュテインにも会っ
ています。前出『紀行』の巻頭に、『戦艦ポチョムキン』等の作品と映
画記号論のモンタージュ理論で知られる、この映画監督が左団次と並ん
で映る写真がおさめられています。エイゼンシュテインの歌舞伎への傾
倒は、後に公開される『イワン雷帝』における皇帝に演じさせた歌舞伎
風の“みえ”の導入に明らかです。

ところで生前のヴィゴツキーに面会した日本人心理研究者に、エッセー
『ヴィゴツキーの思いで』を書かれた森徳治先生がいます。29年にモ
スクワでヴィゴツキーと面会したときのことを「ヴィゴツキーは、大の
演劇愛好者であったらしく、私にあった最初の言葉は『私は今世界の三
大名優を知っている。ロシアのスタニスラフスキー、ドイツのモイシ、
それから日本の左団次である。私は歌舞伎がモスクワで上演された1週
間、毎日かかさずに感激した。ほんとにすばらしかった』という挨拶で
あった」と記しています。実際には、公演は1週間ではないし、大人気
でチケットをとれない関係者からなんとかしてくれと多くの人に泣きつ
かれたという左団次一行の証言を考えると、ヴィゴツキーの発言は割り
引いてみる必要があります。

しかしヴィゴツキーをモスクワ芸術座第二劇場に足しげく通わせた動
機とは何だったのでしょうか。それは内言だった、というのが私の今の
仮説です。タルトゥー派の記号学者イワノフは、1930年代にエイゼンシ
ュテイン、ヴィゴツキー、ルリア、そして言語学者マール等が定期的に
研究会を催していたとしています。エイゼンシュテインも興味深い内言
論を提案していますが、イワノフはそれがヴィゴツキーの影響だとして
います。エイゼンシュテインのモンタージュ論は、隣接配置(ジャクス
タポーズ)される二つの表現(声)の関係に内言を見ると言う興味深い
論だ、と私は理解します。歌舞伎の劇作を支える台詞、義太夫浄瑠璃、
黒御簾などが複合し交差して作る隣接配置はある意味での内言と見るこ
とができます。歌舞伎がヴィゴツキー・エイゼンシュテイングループを
熱中させたのは、彼らの探求する内言を実際にパフォーマンスして見せ
る舞台にであったからだと解釈できないでしょうか。

土屋敬一郎氏は演劇の経験が舞台上の主体の変身=変化に共感し寄り
添う経験だと指摘していたように思うのですが、それはまさに学習の場
において、学習者の変化に寄り添う経験に通じます。歌舞伎は私の学生
時代からの趣味なのですが、なにやらヴィゴツキー、演劇、学習、教育
そして社会文化的アプローチがつながるような気がしています。

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学会より会員のみなさまへ
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◆◆◆事務局より

○2005年度会費未納の方へ

学会を運営するうえでみなさまの会費納入が必要です。1月末から未納者の
方には メールにて個別に連絡を差し上げます。メールの記述にしたがって、
お手数とは思い ますが会費納入をお願いします。
なお、会費を納入されませんと3月末に発行される学会誌をお送りすること
ができ ません。なにとぞよろしくお願いします。

◆◆◆編集委員会より

2006年、今年もよろしくお願いいたします。雪の多いこの冬、雪が降り積も
ると、 日常の見慣れた景色が一転して、非日常の風景に変わるのが、いくた
び見てもふしぎ に思います。雪かきに追われる北国や北陸の方々は、とても
そんな悠長なことは言っ ておられないわけで、大変な生活をされている方々
には、心よりお見舞い申し上げます。
編集委員会では、次号の発刊に向けて、校正作業に入っています。予定通り、
3月に はみなさんのお手元に「質的心理学研究 5号」をお届けできる予定です。
質的研究は定型がないだけに、良い研究とは何かが一律に判断できず、査読
も編集 も事務作業も難しくて、すべて手作りなので、手間も時間もかかります。
でも、多く の方々に多忙な時間をさいて、労を惜しまずがんばっていただいて
います。それは、 投稿者にも読者にも、編集者にも事務局にも、みんなでこの
雑誌を少しでも良いもの にしていきたいという気迫がみちているからでしょう。
本当にありがたいことです。
投稿論文の締め切りが迫ってきました。特集、一般論文ともに3月末が締め切
り(消印有効)ですので、早めに投稿をお願いします。投稿資格として、学会員
であること が必要です。新学会員は、1月末までに入会手続きをしてくださると、
投稿に間に合い ます。
「投稿論文原稿作成の手引き」を新たに作成しました。HPに公開します。
投稿の 際には、必ずHPをご覧になって、「規定」と「手引き」を参照してく
ださい。
「質的心理学研究」の財政基盤を安定させて、質の高い優れた論文を掲載し
つづけるためにも、ご支援をお願いします。みなさまのお知り合いの学会入会
や、所属先の 図書館での定期購読を、ぜひ働きかけてくださいね。

(編集委員長・やまだようこ)

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[クッピーより]

第18号はいかがでしたか? 大雪も峠を越したようですが、雪崩の
心配があり、関係する方々のご苦労は大変なものと思います。
次号に向けて、雪国に明るい話題を提供できるよう、頑張りたい
ものです。

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編集:日本質的心理学会研究交流委員会
第18号担当:長谷川元洋・本山方子・湯浅秀道
発行:日本質的心理学会 http://quality.kinjo-u.ac.jp/
発行日:2006年1月20日
●メールマガジンは、学会からの配信専用ですので返信できません。
●学会に関するご意見・ご要望は以下のWebページからお願いします。
【学会事務局アドレス jaqp@shiraume.ac.jp 】
●メールマガジンに掲載する研究会等の情報やアイデアを募集しております。
情報提供・投稿の締切は、各号15日までにお願いします。
( http://quality.kinjo-u.ac.jp/cgi-bin/yomi-mailer/y_mail.cgi?id=info )
●アドレスの変更、配信の停止を希望される場合は、お手数ですが学会事務局ま
でご連絡ください。
●このメールマガジンに記載されている内容の一部または全てを無断で転載・
複写・転送・再編集することは、著作権の侵害となりますので、お控えくだ
さいますようお願い申し上げます。また、転載を希望する場合は、学会事務
局にご連絡下さい。   【学会事務局アドレス jaqp@shiraume.ac.jp 】
Copyright (C) 2006 日本質的心理学会  All Rights Reserved.
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